税務調査官に「言ってはいけない」3つのこと
税務調査官に対しては、どんなふうに対応するのがいいのでしょうか。特別に構えず、ふつうに礼儀正しく対応するのが基本ですが、調査中にあなたが何を言うか、あるいは言わないかが、大きな分かれ道になることもあります。特に次の3つの言ってはいけないことに気をつけてください。
①嘘(事実と異なること)を言わない
②あいまいな記憶で回答しない
③必要以上の情報開示はしない
調査を受ける側は「自分は警察に事情聴取されている容疑者と同じ」「うかつにしゃべったら大変なことになる」と思っておくくらいがちょうどいいでしょう。
■嘘(事実と異なること)を言わない
「通帳はこれで全部ですか?」
「はい、そうです」
「おかしいですね。請求書を見ると振込先がこれ以外の通帳に指定されていますけど」
「そ、それは……」
「もしかして隠し口座じゃないですか?」
「す、すみません」
「すみませんとは?」
「隠し口座で売り上げをごまかしていました」
「わかりました。では不正と認定します。調査期間を5年から7年に延長、重加算税の検討もさせていただきます」
隠し口座を使って実際の額より収入が少ないように見せかける、仕事にまったく関係ない領収書を経費だと偽るなど、嘘をついていることがバレると、重加算税の対象になりかねませんし、税務調査官の追及がさらに厳しくなってしまいます。
ほかにも「これは取引先との接待で食事に行った領収書です」「ほかに収入はありません」といったミエミエの嘘はやめておきましょう。
■あいまいな記憶で回答しない
「この売り上げはおかしくないですか?」
「は?」
「毎月100万円の入金があるのに、なぜ980万円と書いたのですか? その根拠を説明してください」
「いやー、ちょっと集計を間違えて」
「通帳を見ればわかりますよね? おかしいですよね? 理由を説明してください」
「あの……それは適当に」
「適当って、あなた、どう計算したんですか?」
「す、すみません」
税務調査官にネチネチと攻め立てられると、なかには苦しまぎれに適当に答えてしまう人もいます。客観的な資料に基づかず、自分の主観やあいまいな記憶で答えると、いい加減な数字ととられ、不正と認定されてしまいます。たとえ脱税の意図がなかったとしても、税務調査官はあやふやな部分を敏感に嗅ぎつけます。
■必要以上に情報を開示しない
「あれ? この請求書に対応する入金が通帳に見当たらないのですが」
「……そんなはずは」
「ああ、現金で受け取ったんですね?」
「あ、はい! 現金で」
「そうすると、領収書の控えを持ってますよね?」
「いや、あの……いつもは2階に保管してるんですけど」
「じゃあ2階を見せてください、2階に行きましょう」
「は、はい……」
税務調査官には質問検査権はあるのですが、質問だけでは調査は進みません。質問に対する答え、つまり本人の供述があって調査が進むのです。
質問されたことについては答えるべきですが、必要以上にポロッと口を滑らせると、それがヒントとなり、次の質問の呼び水になります。税務調査官の質問検査権の範囲がどんどん膨らんでいって、知られたくないことまで知られてしまいます。
特に沈黙が続くと気まずくなって、ついいろいろとしゃべりたくなってしまう人は要注意です。筆者は相談に来たお客さんには「聞かれたこと以外はしゃべらないでください」とお願いしています。
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