もし部屋を見せろ、金庫を見せろと言われたら
自宅に商売のお金を一時的に保管している人もいると思いますが、あまり高額なお金を保管していると「所得隠しだろう」と疑われてしまいます。
税務調査官からいきなり「部屋を見せてくれ」「金庫を見せてほしい」と言われたら「なぜですか? 見せたくありません」と言うことはできます。しかし、次のような会話の流れがあったら、見せるのを拒否するのは難しいでしょう。
「現金商売なんですよね?」
「銀行のATMでたまに100万円とかまとまった金額をおろして、そのお金でお客さんに払ってます」
「現金は、いつもどこに保管してますか?」
「私の寝室に金庫があって、そこで」
「じゃ、ちょっと保管状況を確認させてもらっていいですか?」
税務調査官が金庫を見る正当な理由を与えてしまっています。
税務調査官がPCを見たがるときの最適な返答
「いつもどうやって受注していますか?」
「知り合いの紹介からが多いですね」
「得意先がいるということは、請求書を発行していますよね」
「そうですね」
「まさか手書きですか?」
「いや、さすがにパソコンで作っています」
「そうですよね〜。ソフトは何を?」
「エクセルです」
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
「あ、はい」
「これ、入金と照合させてもらっていいですか」
「…………(マズい)」
もし「パソコンを見せてください」と言われたときどう答えたらいいのでしょうか。いま見せると、見せたくないものも見られてしまう。でも見せるのを拒否すると調査拒否と思われてしまう……究極の選択といえるかもしれません。そんなときの模範回答がこれです。
「必要な資料はプリントしますから、おっしゃってください」
税務調査官にパソコンを操作させると余分なファイルまで見られてしまうので、自分で操作して画面を見せるか、プリントアウトした紙を渡すようにしてください。
あるいは「プライベートの恥ずかしい写真が入っているので見せたくありません。整理してから提出します」でもかまいません。すぐには見せませんが、調査官の見たいという要望に応じる姿勢を見せているため、セーフです。
「ねえねえ、恥ずかしいってどんなもの?」と突っ込んでくる税務調査官はいないはずです。
石川 博正
税理士法人エール新宿 税理士・公認会計士
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