「税務署からの電話」を無視し続けてはいけない
「もしもし○○さんですか? こちら××税務署ですが…」
そんな電話がいきなりきたらどうしますか?
「え、そもそも確定申告してないし」
「ヤバい、ごまかしているのがバレてしまう」
と、パニックに陥ってしまう方も少なくありません。
税務署からの最初の連絡はほとんどが電話です。時間帯は税務署が開いている平日の8時半から17時の間、いつでもあなたに電話がかかってくる可能性があるのです。
「いやいや、私は電話番号を公開していないから、突然電話がかかってくるなんてあり得ないよ」と思っている方もいるでしょう。
しかし、確定申告をしている人なら(申告書に電話番号を書く欄がありますから)税務署は当然、電話番号を知っています。
「うちは無申告だから、電話番号はバレないはず!」という人もいるかもしれませんが……、無申告の人が税務調査の対象になる場合、多くは取引先に調査が入って、芋づる式に調査されるというケースです。取引先に出した請求書や領収書に電話番号がない、なんてことはないでしょう。
なかには「知らない番号からの電話には出ない」という人もいますね。防犯意識としては正しいのかもしれませんが、税務署からの電話を無視しつづけるのはよくありません。
「税務調査にうかがいたいのですが」という事前通知の電話は、調査を希望する日の約1〜2週間前に連絡がくることが多いようです。
「事前通知の内容」と「当日の対応ポイント」
「では、7月20日にお時間を取っていただけませんか?」
「では、××税務署より調査官が2人行きます。時間は朝10時からでよろしいでしょうか? 終日かかりますので16時ぐらいまでは時間を取ってください」
「わかりました」
「よろしくお願いします」
事前通知はアポイントメントを取る、という意味もあるのですが、それだけではありません。
私たちの身体は国家権力に制限されてはいけない、という大前提があります。税務調査中は対象者を拘束……とまではいきませんが、質問に答えてもらったり資料を出させたりと、その場にとどめておく必要がありますから、やはり予告をするべき、という観点で原則としておこなうことになっています。
よほど悪質だと思われていたり、現場や証拠を押さえる必要がある際は、例外的に抜き打ちで調査が入ることもあります。
ちなみに反面調査がおこなわれる際にも、同様に事前通知がおこなわれます。例外的に抜き打ちで調査が入る可能性があるというのも同じです。
税務署側が事前通知でしなければならない内容は決められています。
①調査を開始する日時
②調査をおこなう場所
③調査の目的
④調査の対象となる税目
⑤調査の対象となる期間
⑥調査の対象となる帳簿書類その他の物件
⑦その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
ここでのポイントは相手の言葉をよく聞いて、メモしておくことです。
電話をかけてきた相手の所属と氏名、税務調査に来る担当者の所属と氏名などに加えて、できれば聞いた内容をできるだけくわしく書いておきます。
もちろん、完璧に残しておかなければならないわけではありませんが、事前通知で言われなかったことについては、税務調査の当日、対応する必要がないため、記録しておいたほうが有利なのです。
「所得税の調査でうかがいたい」と事前通知で言われたら、税務調査当日に、消費税や印紙税について質問されても答える必要はありません。
「調査年度は3年です」と事前通知で言われていたら、4〜5年前の取引記録をわざわざ見せなくともよく、原則として3年分だけ応じればいいのです。
「メモは面倒だから、そういうのが書いてある紙をもらえるとありがたいんだけど……」
そうですね。書面にまとめてくれたら助かるのに、と筆者も思いますが、なかなかそうはしてくれません。というのは、どのように事前通知するかはじつはルールがないため、税務署側は証拠となってしまう書面は残したがらないのです。電話連絡で、口頭で伝えるのはそうした事情があります。
たまに郵便で送られることもありますが、FAXやメールで送られることはありません。ほとんどが電話です。
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