人間関係、信用…税務調査で失うものは、お金以外にも
税務調査で失うのは、お金だけではありません。調査によってこれまでの行動が明らかになることで、大切な人間関係や信用が壊れてしまったり、お金とは別の大切なものを失ってしまった人を、筆者は何人も見てきました。
税務調査のせいで愛人の存在が奥さんにバレて、家庭を壊してしまった人……
副業がバレて、仕事を辞めざるを得なかった人……
リベート、キックバック等の不正行為がバレて、取引停止に追い込まれた人……
反面調査で取引先の信頼を失ってしまった人……
税務調査のストレスでうつ病になり、自殺に追い込まれた人……
まさか、と思うでしょうか。しかし、どれも実際にあったことです。
脱税と愛人がバレて、家庭がボロボロになることも…
フリーライターのHさんは、愛人へ毎月渡すお金を「外注費」として処理していました。経理担当の奥さんにもバレておらず、Hさんは「愛人と節税の両立♪」と調子よく喜んでいました。
しかし、税務調査がきっかけで、修羅場が訪れたのです。税務調査官はHさんの奥さんがつけた帳簿を見ながら、さりげなく聞きました。
「Bさんという方に対して毎月20万円も払っていますけど、これは何のお金ですか?」
「それは、外注で、仕事を頼んで……」
しどろもどろに答えるHさんの表情に「あやしい!」とピンときたのは、税務調査官ではなく、その場にいた経理担当の奥さんでした。
「あなた!愛人への手当を外注費と偽って、私に帳簿をつけさせていたのね!」
脱税と愛人の両方がバレてしまいました。
税務調査が入ると、ごまかしていたものが一瞬でバレる
Hさんのケースは、奥さんの勘が働いたからバレた、ともいえます。
では、もしもHさんが独身で、恋人に「外注費」と偽ってお金を渡していたらどうだったでしょう? あるいは奥さんと共謀して、親戚や友人などに「外注費」と偽ってお金を渡していた場合は?
どちらもアウトです。税務調査が入れば、それらのごまかしは一瞬でバレてしまいます。
うまくごまかせているなと調子に乗っている今この瞬間にも、税務署はチェックの目を光らせています。いつでも税務調査が入る可能性があるのです。