(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍にあっても、事業計画の立て方の原則は変わりません。ただしコロナ以降、経営者は最悪シナリオ、最善シナリオ、両者の中間的なシナリオを考えたうえで事業計画書を立てることが求められます。最悪シナリオを乗り切る事業計画書を立てるために、まずは事業計画書の全体像から確認していきましょう。※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

ひと言で「事業計画」といっても種類は様々

(1)事業計画書の種類

事業計画は、英語でビジネスプラン(Business Plan)と呼びますが、ビジネス上ではいろいろな呼び名があり、分類上では以下のものも事業計画に含まれます。

 

●新規事業のビジネスプラン

●既存事業の事業計画

●中期経営計画

●短期経営計画

●予算

 

この中で、いわゆる「予算」と呼ばれるものは、数値面での計画即ち計数計画だけのものが多いです。それに対して、中期経営計画など経営計画書と呼ばれるものは、計数計画のみでなく、経営目標や経営ビジョン、戦略、活動計画等も盛り込まれています。そして、事業計画を書面としてまとめたものを事業計画書と呼びます。

同じ「事業計画書」でも「要素」が異なる

(2)事業計画書の要素

それではここで、事業計画書の要素を整理しておきましょう。通常事業計画書には、以下のものが含まれています。

 

●理念…企業理念、経営理念等と呼ばれますが、その組織が大切にしている価値観や存在意義のことを指します。ただし、理念は一定期間変えられることなく保持されるので、わざわざ事業計画書に記載しないこともあります。

 

●目標…経営目標、事業目標等と呼ばれますが、その組織が目指す定量的な目標を指します。一般的には、売上高や利益目標が掲げられることが多いですが、最近では資本効率を表す指標として、ROAやROEが使われることもあります。

 

●ビジョン…経営ビジョン、事業ビジョン等と呼ばれますが、その組織が目指す定性的な目標、すなわち将来像のことを指します。日本語にぴったりした言葉がないので、カタカナでビジョンと呼ぶことが多いです。

 

●戦略…ビジネス戦略のことで、経営目標やビジョンを実現するための方策のことを指します。日本では、方針という言葉がよく使われますが、意味が曖昧になりがちなので、この本では戦略と表現します。戦略には、会社や企業グループ全体を対象とする基本戦略(または全社戦略)と事業ごとの事業戦略、組織機能別の機能別戦略等があります。

 

●活動計画…ビジネス戦略を具体的に、いつ、誰が、どのように行うかという計画に落とし込んだものを活動計画と呼びます。

 

●計数計画…定量目標達成のため、途中の年度別の数値計画、すなわち売上高や原価、販売管理費や営業利益等の財務値等で表されるもののことで、短期の計画では、月別の計数計画までブレークダウンするものがあります。また、投資や資金、人員の計画を含むこともあります。

 

<ポイント>

事業計画書には、様々な種類があり、求められる要素も異なる

 

次ページそれぞれの「事業計画書の要素」の関係性は?

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