相続後の「税務調査」…時効まで逃げ切ることは可能?
相続税の税務調査は、遺産を申告してから2年ほどでやってきます。調査の目的は、申告漏れなどを見つけて、税金を追加で徴収することです。
申告者の約5人に1人に対して実施され、そのうち8割以上に追徴課税が発生しているというので、できることなら避けたいものですよね。
申告したけれども税務調査は来ていない、という方にとっては、一体いつまで調査をされる可能性があるのか、不安なのではないでしょうか。
税金を徴収できる時効は、原則5年です。正確には、税金に関しては時効ではなく除斥期間と言いますが、説明の便宜上、時効とさせていただきます。
いつから5年かというと、その相続の申告期限からです。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月ですので、相続が発生してから5年10ヵ月を経過すれば、原則、税務調査は来ないことになります。
原則というのは、例外的に7年となる方がいるためです。悪質な脱税であれば、時効が7年に延長されることがあります。
さて、時効があると聞くと、申告しないまま時効を待っても大丈夫なのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし税務署は財産に関する様々な情報を把握しているので、5年、あるいは7年もの間逃げ切るのはほぼ不可能です。預貯金の流れや不動産の保有状況などの情報と申告内容の間のズレを、しっかりチェックされています。
中には「引っ越しをして税務署の管轄が変われば、それまでの情報は引き継がれない」と考える方もいらっしゃいますが、現在、税務署の情報は全国で一元管理されています。
たとえ北海道から沖縄に移住しても、北海道に住んでいたころに購入した資産や、収入がいくらあったかなどの情報は、沖縄の税務署に筒抜けです。こうした状況で5年あるいは7年、税務調査を逃れるのは無理でしょう。精神的にもとても疲れることです。
しかも、悪質な脱税とされた場合、税金の追徴だけではなく刑事罰の対象にもなり得るため、社会的な地位にも悪影響を及ぼします。