うつ病、自殺…税務調査のストレスが与える影響は?
税務調査が来るとなったとき、あるいは税務調査の結果を待っている間、ふつうは、不安と緊張でいっぱいになってしまうものです。
なかには必要以上におそれたり、払えないほどの多額の税金がかかってくるのではないかとおびえたり、逮捕されるんじゃないかと疑心暗鬼になったり……。ストレスでうつ病を発症したり、自殺してしまう人さえいます。
当事者が亡くなっても、遺族が相続して税金を払う
税務調査の重圧に耐えきれずに、当事者が自殺してしまった場合でも、税務署は「かわいそうだから許してあげよう」などということはありません。
払わなければならない税金は、(相続放棄した場合を除き)遺族が相続して引き継ぐことになります。本当にお気の毒だとは思います。家族を亡くした悲しみだけでなく、税金の支払いという苦労まで降りかかってくるのですから。生きてさえいれば、お金は後からでも稼ぐことはできるでしょう。安易に死を選ぶことは厳に慎んでほしい、と心から願います。
だからこそ、「税務調査で追い詰められるくらい悩むより、最初からちゃんと税金を払ったほうがいい」と、声を大にしてお伝えしたいのです。
税務調査の対象期間は「7年」「5年」「3年」
税務調査の対象は1年間だけではありません。調査員の裁量で1年分だけの調査となることもありますが、多くの場合、税務調査の対象は複数年にわたります。
基本的な税務調査は過去3年、問題が見つかった場合は過去5年、悪質だと疑われる場合は最長で7年前までさかのぼって調査されます。ゴロ合わせ的にいえば「税務調査は七五三」(まあ、覚える必要はありませんが)。
そして申告ミスが見つかった場合は、その期間の税金の不足分と、それにプラスしてペナルティとして加算税や延滞税などが課せられます。
たとえば、1年分で50万円払わなければならないとなったとき、調査対象年が3年から7年に変更になったら、3年分150万円でも多い負担なのに、「7年分350万円なんてとても無理」……という方も少なくないでしょう。
また、税務調査は脱税している人のところにだけ訪れるのではありません。正しく申告している人のところにも来ます。自分では正しく申告しているつもりでも、税務調査官との「見解の相違」で申告漏れが発生してしまうこともありえます。
石川 博正
税理士法人エール 税理士・公認会計士
※本記事のケースはすべて実際にあった税務調査を下敷きにしていますが、個人が特定されないように、登場する人物は仮名にしております。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】