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父が亡くなって遺産を調べていたら、専業主婦だった母の名義で多額の預金があったり、孫の名義で作った預金が見つかったりすることがよくあります。口座の名義が母や孫になっているので、父の遺産相続とは関係がないように思われますが、実質的に父の遺産とみなされれば相続税の対象になります。このような預金のことを「名義預金」といいます。どのような場合に名義預金と判断されて相続税が課税されるか、また、名義預金と判断されないためにはどうすればいいのか、見ていきましょう。

相続税で問題になる「名義預金」とは?

名義預金は、被相続人の名義ではないものの被相続人の財産とみなされる預金のことです。

 

相続税の税務調査では名義預金があるかどうかが重点的に調べられ、もし名義預金が見つかれば、相続税が課税されます。

 

名義預金を相続した人のほとんどは名義預金に相続税が課税されることを知らないため、税務当局とトラブルになる事例が後を絶ちません。

名義預金の判定をめぐって争いになるポイント

名義預金の判定をめぐった税務当局とのトラブルでは、次のようなポイントが争点になります。

 

●名義人はその預金が自分のものであることを知っていたか

●その預金を名義人が自ら管理していたか

●その預金のお金は誰がどうやって手に入れたか

 

よくある事例をもとに、名義預金と判定されるポイントを紹介します。

 

■専業主婦の妻名義の預金

専業主婦である妻は被相続人である夫から生前に生活費を受け取っていて、余りを預金に入れていました。結婚していた期間が長かったため、金額は数千万円にも上っていました。

 

この例は、「名義人はその預金が自分のものであることを知っていたか」、「その預金を名義人が自ら管理していたか」という点では問題はありません。「その預金のお金は誰がどうやって手に入れたか」というポイントが争点になります。

 

●名義人はその預金が自分のものであることを知っていたか→「知っていた」

●その預金を名義人が自ら管理していたか→「管理していた」

●その預金のお金は誰がどうやって手に入れたか→「夫が稼いだものである」

 

一般的には夫婦の財産は共有のものであると認識されていて、専業主婦の妻名義の預金は妻自身の財産と思いこんでいるケースが多くあります。しかし、法律のうえでは、夫が取得した財産は夫のもの、妻が取得した財産は妻のものと考えます。

 

この例では、妻は専業主婦であるため、数千万円に上る財産を得ることは不可能で、妻名義の預金は夫の財産であるとみなされます。

 

したがって、妻名義の預金は「名義預金」として夫から妻に相続されたことになり、相続税が課税されます。

 

■孫名義の預金

被相続人は孫のためにと思い、孫名義の口座に預金をしていました。孫が無駄遣いをすることが心配だったので、孫には預金の存在を知らせていませんでした。

 

この例では、先ほどあげたポイントのすべてが争点になります。孫はその預金が自分のものであることを知らず、管理もしておらず、そのお金は孫が稼いだものではないからです。

 

●名義人はその預金が自分のものであることを知っていたか→「知らなかった」

●その預金を名義人が自ら管理していたか→「管理していなかった」

●その預金のお金は誰がどうやって手に入れたか→「被相続人が稼いだものである」

 

この預金は、被相続人が孫名義の口座で自身の財産を貯めていたとみなされ、「名義預金」として相続税の課税対象になります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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