「いざとなれば売ればいい」という考えは甘すぎる
いざという時には、転売して出て行ってしまうつもりなのでしょうが、転売に出してもなかなか買い手が付かないと、売値を下げることになり、次に買われた居住者の財産管理意識も希薄になり、徐々に円滑な管理組合活動も難しくなっていきます。
このように、マンションの終焉状況を皆様に解説しても、自分のこととして考えにくい特徴があるのです。文字通り「後は野と成れ山と成れ」と思われている区分所有者の方がおられるかもしれませんが、分譲マンションはそうはいかないのです。
これは沈黙の臓器といわれる膵臓に起きる膵臓癌と同じく、初期症状に自覚症状はなく、しかし症状が徐々に進行し、自覚症状や病巣が発見された時点では、手遅れで治癒は難しく致死率が高い病気と同じなのです。膵臓癌の予防は難しいかもしれませんが、分譲マンションの漂流廃墟マンション化の予防は対処方法があるのですから。
特に「築40年以上の分譲マンション」は早急に予防を
しかし、ただ、誰も重要度や緊迫度を理解されていないために、なんの回避策も立てず時間だけが進み、いつの日にか、現状を目の当たりにして、誰かが、なんとかしなければいけないと思いついて、立ち上がり行動し出した時点では、残念ながら遅きに失した行動であり、漂流廃墟マンション化は止められないと考えてください。しかも、全ての分譲マンションが、必ず通ることになる運命なのですから深刻なのです。
特に、超高経年マンションである築40年以上の分譲マンションにとっては、早急に予防行動をお勧めいたしますが、前述のように無関心なのです。
自分の家の庭にごみを捨てられると、憤慨し警察に訴えたり防犯カメラを設置したりして予防策を立てるのに、マンションのごみ集積場所が汚くされたりごみが捨てられていても、個人的には憤慨しません。今住んでいる分譲マンションのことでも、自分にとって直接の影響がない場合は無関心なのです。