※画像はイメージです/PIXTA

新型コロナショックは、経済、生活の両面から不動産市場に影響を与えた。今後、住宅地価はどうなっていくのか…。不動産市況アナリストの幸田昌則氏が解説する。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

一方、マンションの「売れ筋」は?

■マンションにも「広さ」を求める動きが出ている

 

戸建てだけでなく、マンションにも「広さ」を求める人が多くなっている。都心や駅近のマンションは、すでにバブル期の価格になっている。

 

特に、大都市の新築マンションの一部は、異常と言える水準になっているが、中古マンションでは、まだ手の届く範囲にある。コロナ禍にあって、住宅の立地条件や住宅スタイルが多様化しつつあるが、都市圏に住む人については、生活や通勤に便利なマンションを希望する人は依然として多い。

 

東京都内の中古マンションの専有面積別の成約件数調査によると、成約件数は前年と同じだが、減少しているのは50㎡以下の狭い物件で、逆に、70㎡以上の広い物件の成約件数は伸びている。中古マンションでも広い物件を求める人が増えていることを物語っている。

 

格差社会で富裕層も多くなっていて、住宅価格が高くても購入できる人は年々増加している。2020年の8月頃からは、新築でも100㎡以上のマンションを求める動きが目立っている。快適な生活を得るためのお金が、住宅市場に投下されている。安いものから、価値があれば高額な住宅でも、需要は強い。住宅は、コロナ禍では「広さ」がポイントになっている。

 

■都心から郊外への移転が活発化した

 

コロナ感染拡大と共に、欧米の大都市でも、感染リスクを避けるため、過密な都心部から郊外に引っ越しをする人が多くなっているという。パリやニューヨークでも在宅勤務の増加に伴って、郊外の住宅市場が活況を取り戻している。

 

通動に便利な都心部よりも価格が安く、広めの郊外の住宅の需要が高まっていて、成約件数が増加している。高くなり過ぎたマンションの売りが増え、都心は価格が弱含みに推移しているとの話も聞いている。

 

東京でもまったく同じ現象が見られる。テレワークが増加し、在宅での仕事が可能ということが認識されるようになった。郊外へ転居することで、感染症のリスクを少なくできると考えられるのに加え、住宅価格が安いため、郊外移転の動きが目立ってきている。

 

東京都心から約1時間で通勤できる神奈川県の湘南地域の戸建て住宅の成約件数は、この2年間では、最高の件数となっている。持ち家だけでなく、賃貸住宅市場でも同じ現象が生まれている。

 

また、東京駅から新幹線で1時間前後で行けるリゾート地の軽井沢・熱海・箱根も大活況を呈していて、不動産会社は顧客の対応に追われている。ネットによる問い合わせは、前年比で倍増する月も少なくないという。従来までの顧客に、新たな顧客が急増して、人手がもっとほしいという状況になっている。購入客の多くは、セカンドハウス、サードハウスであり、余ったお金が軽井沢にも流入している。

 

東京から1時間足らずで行ける、静岡県熱海市の中古マンションの成約件数も、直近2年間では最高の数字だ。

 

湘南地域の取引内容とは少し異なっていて、超低金利で行き場のない富裕層のお金が、軽井沢に流入し、1億円を超えるマンションでも、「希少価値」のあるものの売れ行きは好調で、ここにも日本の格差社会が垣間見える。余ったお金がコロナ禍で不動産に向かったことは確かである。

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アフターコロナ時代の不動産の公式

アフターコロナ時代の不動産の公式

幸田 昌則

日本経済新聞社

新型コロナの感染拡大で、不動産市況も大変化。 アベノミクスによる異次元の金融緩和によって演出された不動産バブルは、すでにピークを過ぎていたものの、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、まったく違った局面…

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