(※画像はイメージです/PIXTA)

中高一貫の灘校に入学して、和田秀樹氏は初めて「大学受験までの6年間のペース配分」という発想があることを知ったという。しかも、灘校が進んでいたのは、ただ授業をしてカリキュラムをこなすだけではなく、徹底的に問題集を解いて、「受験に勝つ学力」をつけさせていたことだという。※本連載は、和田秀樹氏の著書『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房、2019年2月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

6年間で東大受験に必要な学力を身につける

では、高3の1年間はどのように使うのかというと、高3は大学受験対策に特化するというのです。

 

しかも、灘校が進んでいたのは、ただ授業をしてカリキュラムをこなすだけではなく、徹底的に問題集を解いて、「受験に勝つ学力」をつけさせていたことでした。

 

当時、東京の進学校は、こういった柔軟なカリキュラムを組んで大学受験に備えていませんでした。灘高が東大の文Ⅰや理Ⅲ、京大医学部の受験において圧倒的な強さを発揮していたのは、こうした背景があったのです。

 

私は鉄緑会という学習塾を東京で立ち上げました。

 

なぜ進学塾を立ち上げたかというと、当時はまだ東京に知られていなかった灘校の勉強のやり方を導入すれば、東大、とくに理科Ⅲ類の合格者を確実に増やすことができるだろうと見こんだからです。

 

実際、私の思惑通り、鉄緑会は理科Ⅲ類の合格者では圧倒的な強さを誇っています。残念ながら、資本を出していないこともあって、私はこの塾をやめることになりましたが、灘校式の勉強法は、東京でも東大理Ⅲの合格者を増やすことになり、やはり「6年計画」がいかに重要かを再認識しました。

 

今でも、6年間の過ごし方を灘校式にするのは有効です。

 

ただし、中学受験を経験していない人に、灘式のスタートダッシュをそのまま適用させると、ハイペースについていけなくなる恐れがあります。

 

6年間勉強漬けで、ただただ、上から出された膨大な宿題についていくという現状の鉄緑会のやり方は、できる子にとっては合格実績を上げるけれど、自主的な勉強法の工夫などをしなくなるし、できない子には不要なコンプレックスを与えるので、私は批判的に見ています。自分が不本意な形でやめさせられたからそう考えるのかもしれませんが。

 

いずれにしても、6年間のトータルで東大受験に必要な学力を身につけるという原則を、どうか忘れないようにしてください。

 

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

公立・私立中堅校から東大に入る本

公立・私立中堅校から東大に入る本

和田 秀樹

大和書房

教育書を多数執筆し、多くがベストセラーになっている実績をもつ和田秀樹氏の渾身の書。 2020年の入試改革への備えにもふれ、具体的なノウハウを数多く入れた。 いわゆる「地頭のいい子」でなくとも、東大を目指せる、合…

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