東大受験は6年あれば攻略できる理由
■1年あたり1000の英単語を覚える意味
私が灘中に入学したとき、英語の先生から最初の授業で言われたことが、今でも頭に残っています。
先生は、中学に入学したばかりの私たちに向かって、こう言いました。
「中学3年間で身につける英単語は1000語だけど、大学受験に必要とされる英単語の数は6000語とされている。要するに中学は義務教育だから、カリキュラムがものすごくやさしくできているわけだ」
先生は、そのあとこう続けました。
「馬鹿正直に、中学3年間で1000語の英単語を覚えていたら、高校になってから3年間で5000語を覚えなくてはならなくなる。これでは非常にバランスが悪いでしょ? だから、中1から高3までの6年間で1年あたり1000語を覚えていこう」
言われてみれば、たしかにそのとおりです。
先生が言うスケジュールで行けば、中1で1000の英単語をマスターしますから、その時点で中3レベルまでの勉強を終えないといけないことになります。
それを聞いて、私は初めて「大学受験までの6年間のペース配分」という発想があることを知りました。
次に、数学の授業が始まると、先生がやはり似たようなことを言います。
「君らみたいに灘中の試験をパスした人間にしてみたら、中学校の数学なんて、居眠りしながらでもできるでしょ。ところが高校になったら、さすがに教科書は難しくなるよ。僕は、数Ⅰから数Ⅲまでを高校の3年間でやるのは無理だと思っている。だから、4年かけて高校の教科書を学ぶことにしよう」
先生が言うには、つまり中学校の教科書は中1の時点ですべて終わらせ、中2、中3、高1、高2の4年間で高校の数学をじっくり学ぶ、というわけです。