(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

4~6月期実質GDP第1次速報値・前期比は僅かながらプラス成長か

 

 

●8月16日に発表される4~6月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.1%程度、前期比年率+0.5%程度と、新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が抑制される中、微増ではあるものの2四半期ぶりのプラス成長になると予測する。

 

●4~6月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は+0.3%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が+0.2%程度のプラス寄与度、公的需要の寄与度は+0.1%程度のプラス寄与度と予測する。

 

●実質個人消費は、前期比▲0.2%程度のマイナスを予測する。また、設備投資は前期比+2.7%程度のプラスになると予測した。

 

●外需は、輸出が+3.6%程度と前期比プラスに、控除項目の輸入が+4.6%程度の前期比プラスになると予測した。外需の前期比寄与度は▲0.2%程度のマイナスになると予測した。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4~6月期前期比は▲5.1%の減少になった。一方、同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同▲1.5%の減少だ。参考までに商業販売額指数・小売業の4~6月期前期比をみると▲2.2%の減少になった。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4~5月平均対1~3月平均比は+3.0%の増加である。供給サイドのデータと違い、底堅い。乗用車販売台数の4~6月期前期比は▲2.4%の減少になった。GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の4~5月平均対1~3月平均比は4月分の水準が高いので+0.1%の増加である。総合的に考えると、4~6月期第1次速報値の個人消費は、前期比で▲0.2%程度の減少になる可能性が大きいだろう。4~6月期の個人消費は新型コロナウイルスの影響でマイナスになり、GDPの若干の押し下げ要因になることが予想される。

 

●設備投資の関連データである資本財(除.輸送機械)出荷指数の4~6月期前期比は+9.5%の増加になった。また、建設財は同+4.0%の増加である。両者を合わせた投資財(除.輸送機械)出荷指数の4~6月期前期比は+7.8%の増加で、1~3月期の+5.4%より2.4ポイント伸び率が高くなった。GDP統計では、1~3月期の前期比▲1.2%の減少から、4~6月期の供給サイドから推計される実質設備投資は前期比+2.7%程度の増加に転じると予測した。

 

●民間在庫変動の前期比寄与度は+0.2%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が1~3月期GDP第二次速報値発表時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+551億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲6,667億円である。一方、鉱工業在庫指数の前期比は、1~3月期は▲1.3%だったが、4~6月期も+1.2%になったことなどを考慮した。

 

●実質輸出入の動向をみると、輸出の4~6月期・前期比は+3.5%の増加になった。控除項目の輸入は同+3.8%の増加になっている。財のデータでみると、1~3月期の外需・財貨の前期比寄与度はマイナスになる可能性がありそうだ。サービスも含めたGDPの輸出の4~6月期前期比は+3.6%の程度の増加、輸入は同+4.6%程度の増加と予測した。4~6月期の外需の前期比寄与度は▲0.2%程度になるとみる。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年4~6期実質GDP(第1次速報値)予測』を参照)。

 

(2021年7月30日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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