市場が平時から有事に変わる「異常検知」を捉える
VaRやESでは計測期間における「損失発生件数」や「発生額」に注目が集まるが、実務上はテールリスクがどのようなタイミングで発生するかの時間依存・確率変動にも注目することが重要である。
わかりやすく言うと、マーケットが平時から有事へ変わりつつある状態を「異常検知」としていかにして捉えるかが重要ということになる。
なぜなら、金融危機などボラティリティが下方に高まる局面では、各資産間での相関が過去の平均データと比較して異常に高まる傾向が生じたり、クレジットスプレッドが一段と拡大することも多く、ヘッジファンド戦略に負のリターンがもたらされやすいとの分析結果があるからだ。
レラティブバリュー戦略※1は平均回帰戦略※2や流動性リスクをとっている分、金融危機時に負の歪度や大きな尖度が生じやすいとの学術研究もあるほどだ(流動性が乏しい分、ミスプライシングにより割安に取得できるとの見方からリスクテイクする)。
※1:割高と割安などの相対価値を見極め、ロングとショートを組み合わせることによって生ずる価格差で収益を上げる投資戦略
※2:市場はいずれ適正価格・本質的価値に戻るとの考え方がベース
そのため、レラティブバリュー戦略をとるヘッジファンドに投資しようとする場合は、クレジットスプレッドのワイド化の兆候に加え、各資産の相関が時間の経過ととともに高まる場面や相互相関(タイムラグを考慮した相関)が予想される局面の「異常検知」をいかに捉え、リスク管理につなげていくのかをデューデリジェンス(調査)でしっかり見極めることが重要であろう。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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