(※写真はイメージです/PIXTA)

故人が遺言書をのこしていなければ、相続手続きのなかでもめごとが起こるケースはままあります。遺言書があったとしても、不備があれば同様です。ここでは行政書士の山田和美氏が、遺言書と相続争いについて解説します。※本連載は、書籍『「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「相続争いなんて、お金持ちだけに起きる問題」?

このなかで特に注意が必要なのは「2」と「3」の段階です。

 

仮に、長男、二男の2人が相続人である場合、長男が「自宅不動産は自分がほしいと言い、また二男も「いや、自宅不動産は自分がもらう」と言い始めたら、話し合いはまとまらないわけです。

 

また、長男が「自分は自宅不動産をもらうけど、自宅は今後も守っていくものであり、売るわけではないから、預貯金は預貯金で、きっちり半分に分けよう」と言い、二男が「それはおかしい。長男は自宅をもらうのだから、その分、預貯金は自分がすべてもらうべきだ」と主張するような場合もあります。

 

相続の争いは、「財産がたくさんほしい」というような単純なものばかりではなく、家族の間で長年抱えてきた想いなどの感情面や、価値観の違いなど、複雑な事情が相まって生じることが少なくありません。

 

「相続争いなんて一部の欲深い人だけに起きる問題だ」「相続で争うなんて、お金持ちだけに関係ある話」などと話す人がいますが、そう一概に言えるものではないのです。

 

とにかく、この話し合いがまとまらないことには、相続手続きは先に進まず、原則として故人の預金を引き出すこともできません。

 

本人同士の話し合いでらちが明かない場合には、調停や審判等、裁判所へ舞台を移すことになります。

 

こうなれば結論自体は出るのですが、弁護士等に依頼をすれば費用もかかりますし、結論が出るまでに時間もかかります。

 

そして何より、兄弟など血縁の近しい者同士で、このような争いになってしまうこと自体が、すでに不利益なのです。裁判の結果、仮に自分の主張がとおったところで、争った相手と、その後これまでどおりの親戚づきあいをしていくことは容易ではありません。

 

これは財産をのこしてくれた故人が望んだ結果なのでしょうか。

 

相続の争いは、他人同士の争い以上に、万が一勃発してしまった場合に失うものが多いのです。

 

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残念な実例が教えてくれる 「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方

残念な実例が教えてくれる 「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方

山田 和美

日本実業出版社

昨今の終活ブーム、エンディングノートブームの影響で、 ・そもそも法律要件を満たしていないので効力がない ・遺族がもめやすい検討事項がまったく解決されていない ・相続税は抑制されたようだけど、これでは家族の溝を深…

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