独居だけれども「家で最期を迎えたい」場合には
在宅療養を開始するにあたり、頭を悩ませられることが多いのが、独居の患者さんの場合です。たとえばがんの末期状態の方など、病状が重い方については、独居での在宅療養、特に在宅で最期まで過ごす(自宅看取り)のは不可能と判断され、退院に至らないケースがほとんどです。
私はこれまでに何度か、独居の方の親族や関係者から「がんの末期状態で入院しており、患者本人は家に帰りたい、家で最期を迎えたいと言っているが、主治医が退院させてくれない」といった相談を受けたことがあります。もともと私が診ていた患者さんのケースでは、訪問看護師とケアマネジャーと一緒に病院へ直談判しに行きました。
独居の方でも、患者さん自身が何を求めるか、どのような生き方や最期の迎え方を望んでいるかが重要です。どんなに充実した医療チーム、介護体制を組んでも、お一人で過ごす空白の時間は避けられず、その間に急変する可能性もあります。それも十分理解したうえで、「一人で自由に生き、そして死んでいきたい」という患者さんの強い意志を確認した私たちは、速やかに在宅療養の体制を構築しました。
病院には決して迷惑をかけない(再入院は絶対にしない)という条件付きで、翌日に退院を許可していただき、それから約2週間、最期まで自宅で過ごすことができました。胃がんの末期状態の患者さんで、病院では約2ヵ月間いっさいの飲食を禁じられていましたが、自宅で念願の卵入りのおかゆを食べて、涙を流しながら大喜びしていた姿が印象的でした。
宮本 謙一
在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき 院長
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