※画像はイメージです/PIXTA

病状が深刻な患者や独居の患者は、「最期は家で迎えたい」という要望を病院から聞き入れられないことが多数。しかし、不可能なことではありません。「在宅医療」の可能性について、在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき院長、宮本謙一氏が解説します。

独居だけれども「家で最期を迎えたい」場合には

在宅療養を開始するにあたり、頭を悩ませられることが多いのが、独居の患者さんの場合です。たとえばがんの末期状態の方など、病状が重い方については、独居での在宅療養、特に在宅で最期まで過ごす(自宅看取り)のは不可能と判断され、退院に至らないケースがほとんどです。

 

私はこれまでに何度か、独居の方の親族や関係者から「がんの末期状態で入院しており、患者本人は家に帰りたい、家で最期を迎えたいと言っているが、主治医が退院させてくれない」といった相談を受けたことがあります。もともと私が診ていた患者さんのケースでは、訪問看護師とケアマネジャーと一緒に病院へ直談判しに行きました。

 

独居の方でも、患者さん自身が何を求めるか、どのような生き方や最期の迎え方を望んでいるかが重要です。どんなに充実した医療チーム、介護体制を組んでも、お一人で過ごす空白の時間は避けられず、その間に急変する可能性もあります。それも十分理解したうえで、「一人で自由に生き、そして死んでいきたい」という患者さんの強い意志を確認した私たちは、速やかに在宅療養の体制を構築しました。

 

病院には決して迷惑をかけない(再入院は絶対にしない)という条件付きで、翌日に退院を許可していただき、それから約2週間、最期まで自宅で過ごすことができました。胃がんの末期状態の患者さんで、病院では約2ヵ月間いっさいの飲食を禁じられていましたが、自宅で念願の卵入りのおかゆを食べて、涙を流しながら大喜びしていた姿が印象的でした。

 

 

宮本 謙一 

在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき 院長

 

 

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※本連載は、宮本謙一氏の著書『在宅医療と「笑い」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

在宅医療と「笑い」

在宅医療と「笑い」

宮本 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

在宅医療は、通院が難しい高齢の慢性疾患の患者さんや、がんの終末期の患者さんなどが、自宅で定期的に丁寧な診察を受けられる便利な制度です。 メリットは大きいのですが、うまくいかないときもあります。 医師や看護師…

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