物が乱雑に置かれていた。体力も気力もなかったのだろう。(※写真はイメージです/PIXTA)

「家賃滞納は普通の人が堕ちる破滅への入り口である。」……2500件以上の家賃滞納トラブルを解決してきた、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏。同氏は書籍『家賃滞納という貧困』(ポプラ社)のなかで、その悲惨な実態を明かしている。

ドアノブには埃、郵便物は溜まったまま…

本人欠席のまま明け渡しの判決が住んでいる公営住宅に行くと、集合ポストには郵便物が溜まっているものの、住んでいるのかそうでないかは分かりません。管理人さんに確認すると、ここしばらく顔を見ていないが、今までも旅行等で月単位で留守にされることがあるので、心配はしていないとのこと。室内に立ち入ることも、事件性(悪臭がする等)がない限りできないとのことでした。

 

仕方なく美子さんに対して、家賃滞納の明け渡しの訴訟を提起しました。

 

その後も気になって何度も公営住宅の方に行ってみても、美子さんには会えません。そして回を重ねるごとに、美子さんはこの部屋に帰っていない、と確信してきました。

 

部屋のドアノブには埃が溜まり、郵便物は取り除かれておらず、そして何より、ドアにつけた目張りが外れていないのです。

 

結局、訴訟の日まで美子さんとは会えませんでした。訴状も受け取られることはなく、裁判の日も美子さんは欠席。明け渡しの判決が言い渡され、荷物置き場だった部屋は強制執行となりました。

 

部屋の中には、小さな頃のアルバムや、古い着なくなった洋服、使わない食器や家電が所せましと乱雑に置かれていました。アルバムはいざ知らず、他の物は大事にとっておかなくてもよさそうなものです。高齢になって、自分で片づけるだけの気力や体力がなくなり、家賃を払ってでも放置しておきたかったのでしょう。

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    太田垣 章子

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