経済常識が急変…バイデン氏が舵を切る大きな政府
コロナパンデミックを契機に世界の経済学と経済政策の常識が根本から変わった。レーガン・サッチャー時代から40年近くの間支配的であった新自由主義(ネオリベラリズム)的常識、つまり財政赤字は避けるべきだ、自由貿易を尊重し、規制を緩和して産業や市場への国の介入はやめるべきだ、等の見方はあっさり捨て去られつつある。
代わって大きな政府を柱とする、いわば「新ケインズ主義」が前面に出てきた。バイデン政権はコロナ対策1.9兆ドルに続いて、8年間で2.25兆ドルという巨額の環境、インフラ投資計画(AmericanJobPlan)を打ち出した。
半導体国産化支援500億ドル、EV開発と充電ステーション投資1740億ドル、クリーンエネルギー産業支援460億ドル、高速ブロードバンド網構築1000億ドル、スマートグリッド等電力インフラ投資1000億ドル、等の新技術基盤整備が盛り込まれている。
さらに教育・育児などに10年間で1.8兆ドルを補助する家計計画(AmericanFamiliesPlan)も打ち出された。この財政資金需要に対してFRBは量的金融緩和で対応する。
トランプ時代まで続いてきた勤労意欲を阻害するので税金や社会保障は最小限にとの通念も棚上げされ、富裕層や企業への増税により社会保障の増額が検討されてされる。
欧州でも財政拡大趨勢が既成事実化している。財政赤字GDP比3%以下、政府債務GDP比60%以下というマストリヒト条項は事実上棚上げされ、7500億ユーロの欧州復興基金が制定された。
時代ははっきり新ケインズの時代へ、サプライサイド強化からディマンドサイドの強化へと舵が切られている。以下では大きな政府を必然とする、3つの要因について解説し、大きな政府が不可逆的な趨勢であることを論述していきたい。
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