前回は、医師が目標とすべき資産形成の最終ゴールについて説明しました。今回は、多忙な医師が資産を形成するうえで「手を出してはいけない」投資やビジネスについて見ていきます。

「普通預金・定期預金」で資産は形成できない

医師の高収入を活用する方法はいろいろありますが、医師向けの有名なポータルサイト「m3.com」の2013年の調査では、医師の資産運用に関する調査結果は次のように出ています。

 

「どのような資産運用をしているか」という問いに対して一番多かった答えが「普通・定期預金」(74.2%)。そして「株式」(21.8%)、「何もしていない」(20.6%)と続き、「不動産投資」は7番目(7.4%)でした。

 

『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏は、資産とは「あなたのポケットにお金を入れてくれるもの」と言っていますが、資産はすなわちそのもの自体がいつでも現金化できて、定期的に収益を生み出してくれるものでなければいけません。

 

ところが調査結果で一番多かった「普通・定期預金」の金利は0.02%から0.3%(2014年11月現在)といったところです。1000万円預けても年間2000円から3万円の利息です。これでは前述のような「資産」とはいえません。

 

プロがしのぎを削る世界で10億円を稼ぐのは至難の業

一方で株式はどうかというと、デイトレードの世界ではその売買は1秒を争います。少しでも目を離すとチャンスを失います。比較的長期の保有を前提とするにしても、ビジネスの動静には常に目を配っておかなければなりませんし、そもそも「目利き」ができなければなりません。毎日寝る間を削ってまで激務をこなし続ける皆さんに、株の値動きをチェックする時間があるでしょうか? とても定期的に利益を生むとは思えません。

 

「株式」と僅差で「何もしていない」が3番目に来ていることから、現状ではほとんどの医師が資産運用を行っていないことが分かります。手軽な副収入ということでは、近年はインターネットショップやアフィリエイトも人気のようです。

 

しかしインターネットショップは、商品の仕入れから在庫管理、受注の対応、商品の発送などをすべて行わなければなりません。従業員を雇うなら可能かもしれませんが、軌道に乗る前にそこまで準備を整えるかどうか考えものです。

 

アフィリエイトとは、インターネット広告の課金方式の一つです。最初にウェブサイトやブログを開設し、そこにネット広告を貼り付ける必要があります。その広告を見た一般の閲覧者が、そのリンクを経由して広告主のサイトで会員登録や商品を購入したりすると、一定の料率に従って媒体運営者に報酬が支払われるというものです。

 

当然、そのサイトやブログを頻繁に更新しないと、閲覧数を伸ばすことができません。結果的に誰からも広告を見てもらえず自然消滅に、ということがほとんどのようです。どちらにしても超多忙な医師の皆さんには向かないでしょう。

 

そもそも世界中のプロ中のプロが常にしのぎを削っている株やネット関連ビジネスで、10億円を稼ぐのは至難の業です。草野球の経験もない素人が、プロ野球で4割バッターを目指すようなものです。投資した金額を回収するのさえ難しいでしょう。こんな可能性の低いことに時間とお金を使うべきではありません。

 

 

本連載は、2015年1月30日刊行の書籍『資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

旧来の医療体制が瓦解し始めた今、医師たち一人ひとりに求められているのは勤め先の病院に頼らない、自らの開業をも見据えた確固たる基盤づくりであり、なかでも最も重要なのは資産形成である。資産形成にはさまざまな方法があ…

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