数字を悪用する詐欺師…「カモ」にされないためには?
詐欺には、2羽の鳥がいると言います。騙す「サギ(詐欺師)」と騙す標的にされる「カモ(被害者)」です。詐欺師は巧みにお金を集めて最後はドロンします。高い利回りを目の前に提示しておきながら、次から次へと出資金を集め、実は運用などはしておらず、集めたお金の一部を配当金と称して配っていたに過ぎないので、出資者が少なくなってきたら、そのまま逃げてしまうということもよくあります。
このような騙しのテクニックを使った詐欺の手口を、有名な詐欺師の名前を取って、「ポンジ・スキーム」と呼びます。要するに、言葉巧みに出資者から資金を募り、さも運用しているかのように見せかけて(実際には何もしないで)、そのお金を別の出資者の配当金に回しながら、次々と顧客を増やし、巨額のお金を騙し取る手口です。
日本では出資金詐欺とも言いますが、米国では100年以上前からたびたび繰り返されていて、元NASDAQ会長が加担した事件などが有名です。日本でも同様の詐欺事件がいくつも摘発されていますし、最近では暗号資産(仮想通貨)のポンジ・スキームも発覚しています。
当たり前の話ですが、ポンジ・スキームは、最後は必ず破綻します。そして、詐欺師はお縄になります。けれども、出資者のお金はどこかに消えてなくなり、ほとんどの場合、1銭も戻ってきません。
故に、怪しげな儲け話に誘われたときには、必ず「年率換算」すること! 立派なパンフレットに惑わされることなく、冷静に書かれた利回りの数字が月利なのか、年利なのか、よく確かめてください。そうすれば、その資金運用計画がいかに現実離れしたものかがすぐにわかるはずです。
ちなみに、小さい数字を示して相手に錯覚を起こさせる古典的な手口に、「十一(といち)」があります。皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
「10日で1割」の利息を取る高利貸しをこう呼びます。10日で1割、つまり借りた利息は10%なので、1日に直せば1%分です。例えば、無登録の高利貸しから1000円札を1枚借りたとします。借りた方は「たった1日10円ずつの支払い分でいいのか」と大喜び。でも、これは日利に直せば1%ということですから、月利では30%、年利に換算すると365%にもなってしまいます。こんなのは、もちろん法律違反です。しかし、現実に町金融と呼ばれる金融業者のなかには、限りなくこれに近い高利貸しをやっている違法なブラック業者(闇金業者)もいます。
年率換算すれば、そのカラクリに気づきます。それ以前に、たとえお金に困っても、むやみに変なところから借金をしてはいけません!
ちなみに、さまざまな複利商品の年率が簡単に計算できるサイトがあります。カシオという会社が運営しているもので、「利息計算」をクリックすると、複利で表面金利と実質金利の年利率を計算できます。
無料で使える便利なサイトなので、ぜひ一度活用してみてください。
◆まとめ◆
詐欺話を見破るコツは、「毎月○%」を年率換算してみること。
市川 雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長
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