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投資における収益には、配当、利子、家賃収入等の「インカムゲイン」と、株価や不動産等の元手資産の値上がりで得られる「キャピタルゲイン」があり、これらを総合的に捉えた収益性の判断が重要です。しかし、初心者は目先の利益に気を取られて損をしやすいため、注意が必要です。※本連載は、市川雄一郎氏の著書『投資で利益を出している人たちが大事にしている 45の教え』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

投資の収益=インカムゲインとキャピタルゲイン

投資における収益には、「インカムゲイン(income gain)」と「キャピタルゲイン(capital gain)」の2つがあります。インカムゲインは配当金(株式)や利子(債券、預貯金)、あるいは家賃収入(不動産)などによるリターンを指し、キャピタルゲインは株価や不動産価格などの元手資産の値上がりによって得られる収益を指します。

 

投資を行うときは、このインカムゲインとキャピタルゲインを総合的に捉え、儲け分と元手の値上がり分をトータルして収益性を判断しなければなりません。大事なのは、実際に手元に入る「最終利益」です。次のような例で考えてみましょう。

「毎月分配型投資信託」で気をつけたいこと

日本では以前から「毎月分配型投資信託※1」に人気があります。その理由は恐らく、毎月毎月少しずつであっても確実にインカムゲイン(分配金)が入ってくるので、リターンを得ている実感を得やすいからでしょう。けれども、これには注意点があります。目先の利益に喜んでいるだけではいけません。少しのインカムゲインを得ている間に、キャピタルゲインがマイナスになっている、つまり、元手が目減りしてしまい、両者を併せて考えると、資産は増えていなかった。そんなこともあるのです。どういうことでしょうか?

 

※1 毎月分配型投資信託
1ヵ月ごとに決算を行い、収益等の一部を収益分配金(分配金)として毎月分配することを運用方針とする投資信託商品。「投資信託の運用を続けながら、運用成果だけは毎月こまめに受け取りたい」というニーズに合った商品といえる。ただし、分配金については、毎月の分配や分配金額が保証されているものではない。

 

例えば、あなたが1口1円の毎月分配型投資信託を100万口(100万円分)購入したとします。そして、1万口当たり50円の分配金が出ていたとします。単純に1口当たりに直せば、0.005円。すると、税金を考えなければ、1年間に得られる分配金は、0.005円×100万口×12カ月=6万円ということになります。年利にすれば6%です。

 

普通預金の金利がいま、年0.001%程度ですから、100万円を預金していても税引前で10円なので、なんとその6000倍。「わぁ、スゴい。儲かった!」と大喜びしたくなる気持ちはわかりますが、でも、それはちょっと早計かもしれません。なぜならば、この年利6%のリターンは、あくまでも購入した時点での「基準価格※2」に対する利回りに過ぎないからです。

 

※2 基準価格
投資信託の値段のこと。投資信託には取引を行う際の単位(「口」と呼ばれる)がある。例えば、運用を開始する時点で1口1円で購入できた投資信託は、運用を開始すると、1口の値段が運用の成果によって変動していく。

 

基準価格とは、簡単に言うと「投資信託の値段」のことで、一般的にはDCF法※3(割引現在価値法)で計算されます。基準価格は買ったときのまま変わらないものではなく、それぞれの投信商品を構成する企業のその時々の企業価値によって変動するのです。

 

※3 DCF法
企業価値を評価する方法のひとつで、会社が将来生み出す価値を、フリーキャッシュフローをベースに割り引いて現在価値に換算する。

 

仮に1年後の基準価格が1万口当たり9400円に値下がりしたら、あなたの持ち分の価格は94万円となります。分配金の6万円を加えても、やっとこさ収支トントンという計算になります。もし1万口あたり9390円だったとしたら、93万9000円ですから、投資した資金に対して、1000円のマイナスになります。

 

これを「キャピタルロス」と言いますが、要するに、6万円の分配金をもらっても、トータルでは1000円の赤字で、「儲かった」どころか、損をしてしまっているわけです。100万円の投資額に対する損失率は0.1%になりますから、大損というほどではなくても、個人投資家にとってはそれなりのダメージと言えるでしょう。

 

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