企業による保育園ビジネス参入には、事業多角化による経営安定や子育て世代の女性従業員の定着など、数多くのメリットがあります。しかし保育園事業へ参入・小規模保育所の経営を実現するためには、事業所設備・施設の厳しい基準をクリアする必要があり、入念な準備が必要です。事業所設備のポイントを詳しく解説します。

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    建物の要件、近隣への説明…整備にあたっての留意事項

    また、保育所の整備にあたって、次のような留意事項があります。

     

     ①建物の要件 

     

    ア:新耐震基準(昭和56年6月施行)を満たす建物であること。

    イ:建築基準法に基づく建築確認済証及び検査済証の交付を受けている建物であること。

     

     ②近隣説明・近隣への配慮 

     

    事業所の整備及び運営を円滑に進めるためには、周辺住民の理解と協力が必要になりますので、周辺住民等に対する事業説明会を開催する等、住民の理解と同意を得るよう努める必要がある。また、説明状況について、横浜市に報告する。事業所の設計・工事施工にあたっても、周辺の交通状況・騒音・振動等に留意するなど、近隣・地域への配慮が必要。

     

     ③採光及び換気のための開口部の確保 

     

    乳児室・保育室などは、部屋ごとに、床面積(壁芯)の5分の1以上の採光要件(十分な採光が可能な窓の設置)を満たす必要がある。

     

     ④周辺環境 

     

    整備計画地の周辺に、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条」にあたる営業所が所在している場合、児童の保育環境として大きな課題があると考えられ、申請を受理できないこともありますので、あらかじめ十分な確認が必要。

     

    実際に小規模保育事業を行う際、国の基準と自治体の基準が異なるケースがあり、その場合には自治体の基準に合わせなければなりません。横浜市の場合では、設置基準や保育従事者の配置基準に違いがあります。

     

    また、給食の外部搬入に関しても、連携施設や同一法人が運営する社会福祉施設等の調理場から搬入することは可能である一方、仕出し弁当などは認められません。外部搬入を行う場合は、小規模保育事業側で、加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えなければなりません。

     

    さらに横浜市では、地球温暖化の防止、循環型社会の形成、水源のかん養等のため、平成26年4月に「横浜市の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針」を定めており、木材の積極的な活用を図っています。小規模保育事業の整備にあたっては、建物の木造化や、天井、壁、床などの内装に木材を活用する“木質化〟に積極的に取り組むことが望まれています。

     

     

    河村 憲良

    株式会社Five Boxes 代表取締役

     

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