企業による保育園ビジネス参入には、事業多角化による経営安定や子育て世代の女性従業員の定着など、数多くのメリットがあります。しかし保育園事業へ参入・小規模保育所の経営を実現するためには、事業所設備・施設の厳しい基準をクリアする必要があり、入念な準備が必要です。事業所設備のポイントを詳しく解説します。

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    事業所の設備には、厳しい基準が設けられている

    事業所の設備については、次のような基準が設けられています。

     

     ①設備の基準 

     

    小規模保育事業の設備には、乳児室又はほふく室、保育室又は遊戯室、屋外遊戯場、調理設備、便所及び手洗用設備が必要です。可能な限り医務室の設置が求められています。

     

     ②保育室等 

     

    乳児室又はほふく室は、0、1歳児1人につき3.3㎡以上、保育室又は遊戯室は、2歳児1人につき1.98㎡以上の面積が必要です。これらの面積は、有効面積であることが必要です。壁の内側の面積であることに加え、造り付け・固定造作物を除いた面積でなければいけません。

     

    〈面積から除く造り付け・固定造作物〉

    (1)押入れ、ロッカー、収納スペース、子ども用荷物収納棚
    (2)吊り押入れ、吊り戸棚(床上140cmの空間を確保したものは除く)
    (3)手洗い器
    (4)ピアノ

     

    なお、面積の算出方法(内法・有効面積)は、保育室のみに適用されます。採光面積の基礎となる床面積は、建築基準法上の基準であるため、同法の規定する床面積(壁芯)です。

     

     ③屋外遊戯場(園庭)

     

    満2歳以上の幼児1人につき3.3㎡以上の専用の屋外遊戯場が必要です。ただし、屋外遊戯場を確保できない場合、近隣の公園等(児童の歩行速度で5分程度。概ね300m以内)で代用できます。

     

    なお、ピロティーなど、屋根や天井があり建築面積に含まれる場所は、屋外遊戯場としては認められません。近隣の公園とは、都市公園法上の公園を指します。

     

     ④調理設備 

     

    定員に見合う設備及び面積があり、保育室等と区画(腰高程度でも可)が必要です。衛生管理の点から、調理室の入り口に前室を設け、手洗い設備を設置することが望ましいとされています。

     

    なお、調理設備については、衛生面、作業動線を考慮した設備とするため、設計の段階でその園の所在地を所管する「区福祉保健センター生活衛生課」に相談することになっています。給食を連携施設等から搬入する場合は、加熱、保存等の調理機能を有する設備が必要です。

     

     ⑤便所 

     

    定員に見合う設備及び面積があることが必要です。児童10人に対し、児童用大便器を一つ設けます。やむを得ず児童用大便器を設置することができない場合は、大人用便器に補助便座を設置することも可能です。また、調理職員専用のものや汚物処理設備の設置が望ましいとされています。

     

     ⑥手洗用設備 

     

    児童用と職員用をそれぞれ保育室内に設ける必要があります。また、調理室に調理職員専用の手洗用設備を設けることが望ましいとされています。

     

     ⑦保育室等を2階以上に設ける場合の要件 

     

    保育室等を2階以上に設ける場合には、基準条例に基づいて必要な設備を備える必要があります。

     

    また、保育室を2階に設ける場合、3階に設ける場合、4階以上に設ける場合で、必要な設備には違いがあります。児童の安全性等防災上の観点から、保育室は低層階
    に設けることが原則となっています。

     

    出典:横浜市こども青少年局こども施設整備課「小規模保育事業整備の手引き」(平成30年1月版)
    [図表1]保育室等を2階以上に設ける場合の要件 出典:横浜市こども青少年局こども施設整備課「小規模保育事業整備の手引き」(平成30年1月版)

     

     ⑧その他の設備等 

     

    図表2を参照してください。

     

    ※事業所設置階までで可。屋内と階段室とは、バルコニー又は付室(4階以上の場合は、階段室が同条第3項第2号に規定する構造を有する場合を除き、同号に規定する構造を有するものに限る。)を通じて連絡することとし、かつ、建築基準法施行令第123条第3項第3号、第4号及び第10号を満たすこと。(←特別避難階段を一部準用) 出典:横浜市こども青少年局こども施設整備課「小規模保育事業整備の手引き」
    [図表2]基準条例第29条第9号イ ※事業所設置階までで可。屋内と階段室とは、バルコニー又は付室(4階以上の場合は、階段室が同条第3項第2号に規定する構造を有する場合を除き、同号に規定する構造を有するものに限る。)を通じて連絡することとし、かつ、建築基準法施行令第123条第3項第3号、第4号及び第10号を満たすこと。(←特別避難階段を一部準用)
    出典:横浜市こども青少年局こども施設整備課「小規模保育事業整備の手引き」

     

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