(※画像はイメージです/PIXTA)

企業による保育園ビジネス参入には、事業多角化による経営安定や子育て世代の女性従業員の定着など、数多くのメリットがあります。しかし保育園事業へ参入・小規模保育所の経営を実現するためには、国や自治体が設ける基準をクリアする必要があり、入念な準備が必要です。入所者の募集に関するポイントを詳しく解説します。

小規模保育園事業における「入所者の募集」の概要

ここでは、小規模保育園事業における入所者の募集などについて見ていきましょう。

 

 ①小規模保育事業への入所 

 

入所を希望する保護者は、市に対し支給認定・利用申請の手続きを行います。申請者の希望や園の状況などに応じた、利用調整を経たうえで、園と保護者の間で利用契約を結ぶことになります。

 

 ②保育内容 

 

小規模保育事業における保育は、乳幼児の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしいものでなければなりません。「保育所保育指針」に示されている趣旨を踏まえて、目の前の子どもの育ちゆく姿を見通し、0歳から2歳までの発達過程や発達の連続性を考慮し、各事業所の理念や保育方針、地域性などを反映させながら、保育の内容をつくり出していくことが望まれています。

 

また、「基準条例」に規定されるとおり、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければなりません。以下の事項に留意する必要があるとされています。

 

1. 事業所の運営にあたっては「保育所保育指針」に沿った運営が必要であること。

 

2. 本市が策定した保育施策について、積極的な取り組みに努めること。

 

3. 地域における子育て支援のため、その社会的な役割を認識し、区役所等関係機関と連携し、行動すること。

 

4. できる限り、福祉サービス第三者評価を受審し、その結果を公表するよう努めること。

 

5. 苦情を受け付けるための窓口を設置する等、保護者等からの苦情に迅速かつ適切
に対応するための措置を講ずること。

 

6. 個人情報については、個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)その他の関係法令に準じ、適切に取り扱うこと。

 

 ③保育責任者 

 

小規模保育事業においては、保育に従事する職員のなかから保育責任者を1人選任するものとされています。例えば横浜市の場合、保育責任者の要件としては、保育所並びに保育所以外の児童福祉施設、認定こども園、幼稚園、家庭的保育事業及び横浜市認定保育所において2年以上勤務した経験を有する者であるか、もしくはこれと同等以上の能力を有すると認められる者とされています。

 

また、新たに認可を受けた小規模保育事業については、原則として運営開始後3年間は保育責任者を変更しないよう求められています。

 

なお、補助金交付等の要件として、別途条件が付く場合があります。

 

*小規模保育事業は、19人以下の少人数による保育であり、従事する職員も認可保育所と比べると少人数であるため、例えば横浜市では、基本的には保育責任者が園の責任者(いわゆる施設長)と現場の責任者(いわゆる主任)の役割を兼ねることができると考えています。ただし、保育責任者とは別に園の責任者(管理者という)を設けることもできます。その場合は、役割分担を明確にしたうえで、申請時に相談することとなっています。

 

<保育責任者として望ましい条件>

●0~2歳児の保育経験が豊富であること
●保育所・小規模保育事業で施設長・保育責任者の経験があること
●同一法人が運営する保育所・小規模保育事業で長期間、常勤としての勤務経験があること
●事業申請時、もしくは直近まで保育所・小規模保育事業に保育士として勤務していること

 

 ④職員配置 

 

小規模保育事業A型には保育士、B型には保育士その他保育従事者、C型には家庭的保育者、A・B・C型共通して嘱託医※1及び調理員※2が必要とされています。保育士については児童の年齢毎に配置基準が定められています。なお、横浜市では運営費の加算により、配置基準を上乗せしています。

 

※1 嘱託医の選定については、横浜市医師会にお問い合わせください。 ※2 給食を連携施設等から搬入する場合は、不要です。 ※3 上記に加え保育士(A型)・保育従事者(B型)を1人追加。 ※4 家庭保育補助者を置く場合は5:2、複数体制で保育をすること。 出典:横浜市こども青少年局こども施設整備課「小規模保育事業整備の手引き」
[図表1]児童:保育従事者の配置基準 ※1 嘱託医の選定については、横浜市医師会にお問い合わせください。
※2 給食を連携施設等から搬入する場合は、不要です。
※3 上記に加え保育士(A型)・保育従事者(B型)を1人追加。
※4 家庭保育補助者を置く場合は5:2、複数体制で保育をすること。
出典:横浜市こども青少年局こども施設整備課「小規模保育事業整備の手引き」

 

 ⑤保育時間 

 

(1)開所日

 

日曜日、国民の祝日及び年末年始を除いた日が開所日となります。お盆休みや開園記念日等、園独自の休日は設定できません。

 

(2)保育時間

 

開所日の曜日にかかわらず、保育短時間(8時間)認定の子どもが最大で利用可能な時間帯としての『保育時間(8時間)』と、保育標準時間(11時間)認定の子どもの最大で利用可能な時間帯としての『保育時間(11時間)』を確保するため、11時間以上の開所時間を設定しなければなりません。また、保育時間(11時間)を超える時間帯を『延長保育』とし、地域のニーズに応じて実施することが求められています。

 

[図表2]保育時間

 

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