企業による保育園ビジネス参入には、事業多角化による経営安定や子育て世代の女性従業員の定着など、数多くのメリットがあります。しかし、経営にあたっては、保育所特有の注意点があります。それは、現場スタッフの確保と管理、そして保護者からのクレーム対策です。具体的な対応策には、どのようなものがあるのでしょうか。

管理者制度を活用し、保育士の不足を担保しておく

保育所は人員配置基準がありますから、保育士が足りないことは死活問題です。実際のところ、基準を満たしていない既存の保育所をたくさん知っていますが、じゃあ、ほかに預かるところがあるのかという問題からなのか、密告でもない限り行政指導を受けることはありません。

 

だからといってそこに甘えてはいけません。民間企業は「金儲け主義」と見られることがありますから、必要以上に遵法精神がないといけないのです。

 

かといって、人件費の適正コントロールが健全な運営に求められますので、ただ、増やせばいいというわけではありません。

 

そこで、筆者は管理者制度を上手に利用すればよいかと思います。管理者は必ずしも保育士である必要はありませんが、私たちの保育園は、全員が保育士です。

 

なぜ、保育士を管理者にしておくのがいいか。それは、なんらかの理由で保育士が辞めてしまい、保育者が足りなくなったときに備えることができるからです。その場合は、管理者をはずれ保育者として勤務してもらうのです。

 

大規模園の園長は、園長の仕事で大変かもしれませんが、子どもが12人の小規模園はそこまで園長業務があるわけではありません。

 

実際、2019(令和元)年度までは、管理者設置加算という管理者を設置したら加算する方式であり、必ずしも配置しなければいけないという存在ではありませんでした。

 

現在は、基本単価に管理者の手当が上乗せされ、管理者が不在だと減算処分となりますが、新しい保育士を採用するまでのあいだです。人員配置基準違反をするよりはマシです。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

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安定収益と社会貢献を両立する小規模保育園経営

安定収益と社会貢献を両立する小規模保育園経営

河村 憲良

幻冬舎MC

保育園経営は企業の参入が難しいと思われがちだが、実際はそうではなく安定収益をもたらし、社会貢献もできるビジネスである。 なかでも小規模保育園なら、保育園業界に山積する問題を一挙に解決。 本書では開業の流れか…

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