税務調査と聞くと、国税局査察部の通称名である「マルサ」をイメージしますが、マルサが税務調査を担当するのは悪質な納税者に限定されるため、一般の人がマルサの調査を受けることはほとんどありません。相続税や所得税を申告した人が調査を受ける際、相対するのは「国税局資料調査課」。税務調査を担当する部署の中でも、特に優秀な職員が集められている部署です。今回、この「国税局資料調査課」について解説していきます。

「国税局資料調査課」とは

国税局資料調査課(通称:リョウチョウ)とは、国税局の調査部門の一つであり、年間通じて税務調査のみを業務としている部署です。

 

国税局資料調査課が担当するのは、申告内容に不正が見込まれる事案や申告額が大きい事案など、税務署では対応できない申告書の調査です。税務調査によって不正や過少申告を見つけることが至上命令であり、国税局資料調査課に所属する職員の価値は増差税額で決まります。

 

※ 増差税額とは、修正申告(期限後申告)の提出により追加で支払う税金の金額

 

そのため、申告書の問題点を見つける能力や不正の手口を解明する調査スキルは、マルサよりも上とされています。

 

真のエリートがここに…(※画像はイメージです/PIXTA)
真のエリートがここに…(※画像はイメージです/PIXTA)

リョウチョウとマルサの調査内容の違い

国税局資料調査課(リョウチョウ)と国税局査察部(マルサ)は両方とも調査担当の部署ですが、調査を行う際に根拠となる法律は違います。そのため調査手法も、国税局資料調査課と国税局査察部では異なるやり方を用いています。

 

■国税局資料調査課が行う調査は「任意調査」

国税局資料調査課が行う調査は任意調査です。任意調査とは、調査相手の同意を得て実施する調査であり、税務署職員が行う税務調査も任意調査です。

 

国税局資料調査課が臨宅調査で財産を調べる場合、調査対象者の同意を得てから財産を調べます。そのため急に自宅に押し入り、財産を押収するなどの行為が行われることはありません。

 

■国税局査察部が行う調査は「強制調査」

国税局査察部が行う調査は、任意調査ではなく強制調査です。強制調査とは、調査対象者の同意なく財産を調べたり押収することができる調査です。

 

強制調査とは言っても、裁判所の許可が必要であり、裁判所は悪質な脱税行為があると判断しない限り強制調査を許可しません。そのため、相続財産を隠すことなく相続税の申告書を提出した人がマルサからの調査を受けることはありません。

 

■任意調査であっても調査を拒否することはできない

国税局資料調査課や税務署職員が行う調査は任意調査であり、調査対象者の同意に基づいて行われますが、税務調査を拒否することはできません。国税組織から税務調査の申し出があった場合には、正当な理由が無い限り応じる必要があります。

 

なお任意調査の場合、調査担当者から事前連絡がありますが、事前連絡をすることで不正な証拠隠滅などが行われると判断した場合には、無予告で調査が実施されることもあります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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