税務調査と聞くと、国税局査察部の通称名である「マルサ」をイメージしますが、マルサが税務調査を担当するのは悪質な納税者に限定されるため、一般の人がマルサの調査を受けることはほとんどありません。相続税や所得税を申告した人が調査を受ける際、相対するのは「国税局資料調査課」。税務調査を担当する部署の中でも、特に優秀な職員が集められている部署です。今回、この「国税局資料調査課」について解説していきます。

国税局資料調査課の税務調査の手法

国税局資料調査課は調査専門部署ですが、国税局資料調査課だけに認められている特別な税務調査の手法は存在しません。

 

ただ国税局資料調査課は調査に特化した部署ですので、調査事項が解明されるまで徹底的に調査が行われます。

 

■国税局資料調査課と税務署職員の調査手法は同じ

国税局資料調査課が行う調査は任意調査なので、税務調査の流れは税務署職員が行う調査と同じです。

 

<税務調査の流れ>

・申告内容の情報収集

・臨宅調査

・反面調査

 

税務調査を実施する場合、申告内容の情報を集めてから臨宅調査を行います。臨宅調査では調査対象者に申告内容や経緯についての質問および、財産の現物確認や保管状況を確認します。

 

そして臨宅調査終了後に行われるのが、反面調査です。反面調査とは、銀行や取引先に対して行う調査で、申告内容や臨宅調査での回答の裏付けとなる証拠を掴むために実施されます。

 

■調査担当者の技量と調査に充てる日数は税務職員とは桁違い

国税局資料調査課が行う調査方法そのものは税務署の調査担当者と同じですが、調査に費やす人員や日数には歴然とした差があります。税務署の調査担当者は税務調査以外の業務もあるため、調査1件当たりに対して充てられる時間には制限があります。

 

一方、国税局資料調査課は税務調査に特化した部署なので、職員全員が調査に専念できる環境が整っています。また調査日数には基本的に制限はなく、調査事項が解明されるまで調査が終結することはありません。

 

なお税務署の調査は、税務調査が実施されてから2~3ヶ月以内に完了することが多いですが、国税局資料調査課は徹底的に調べるため、調査が完了するまで半年以上かかることもあります。

 

■国税局資料調査課は裁判まで争うことを想定して税務調査を行う

税務調査の処分に納得ができない場合、調査対象者は不服申し立てや裁判をすることが可能です。税務署の調査でも不服申し立てが行われるケースはありますが、国税局資料調査課が担当する調査は高額な申告が多いため、裁判まで発展することもあります。

 

そのため国税局資料調査課は税務調査を実施する時点から裁判になることを想定し、物的証拠以外にも臨宅調査での応対事績を「質問応答記録書」として保存し、証拠として用いることもあります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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