日本の財政破綻を憂う投資家が、国債を買い続ける納得のワケ

日本政府が抱える巨額の財政赤字を見て「もうじき日本は破綻する!」と、悲観的な未来予測を展開する識者やマスコミはあとを絶ちません。しかしその一方、日本国債の人気は依然として高く、いまだに多くの投資家たちに買われ続けています。その背景には、どんな理由があるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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日本政府の財政破綻を懸念する人は多いが…

日本政府は毎年巨額の財政赤字を計上しており、とくに最近は新型コロナ対策として巨額の財政出動を行っていることから、政府の借金は膨れ上がる一方となっています。

 

民間企業なら当然破産している水準ですし、政府であっても破産するかもしれないと、多くの人が不安視しています。投資家たちのなかにも「日本政府は破産する」と懸念している人は少なくないはずです。

 

ところが、日本国債は人気があります。「日本政府が破産するかもしれない」と思えば、日本政府が発行した借用証書である日本国債など怖くて買えないはずなのに、利回りがほぼゼロ%なのに、喜んで買っている投資家が多いのです。

 

また、本来であれば、倒産しそうな発行体の発行した債券は利回りが非常に高くなるのですが、日本国債についてはそうなっていません。

 

日本国債を持っている人に「持っていて、不安になりませんか?」と聞いてみたところ、「別に心配してませんよ、日銀が喜んで買ってくれますから、いざとなったら日銀に買ってもらえばいいでしょう?」という答えが返ってきたことがあります。

 

しかし、「日銀が買ってくれるから安心」というのは理由になりません。日銀が国債を買ってくれたとしても、支払ってくれる代金は日銀券という「政府の子会社が発行した紙切れ」です。日本政府が破産するときに、そんなものを持っていても仕方ありませんから…。

日本国債は「消去法的」に買われている

日本人投資家が日本国債を買うのは、国債が円資産のなかで最も安全だからです。日銀は日本政府の子会社ですから、日銀券や日銀への預金は政府への貸出である日本国債よりは危険ですし、当然ながらメガバンクに預金するのも日本国債よりは危険です。

 

米国政府が破産する確率は日本政府より低いかもしれませんが、米国債を購入するには米ドルを購入する必要があり、ドル安円高で損失を被る可能性(為替リスク)があるので、日本国債ほど安全ではないのです。

 

投資家は「とりあえず、手元の現金を明日まで運用する方法を考えよう。明日以降のことは、明日考えればいいから」ということで、明日までの運用を考えます。

 

その場合、日本政府が明日までに破産する可能性は非常に小さいですが、ドル安円高は明日起きるかもしれませんから、日本国債のほうが安全だといえるわけです。

 

明日も同じことを考えて、明後日まで日本国債で運用し、明後日になってから改めて翌日までの運用を考えて、再び日本国債で運用する…ということが繰り返されているわけですね。

 

余談ですが、ギリシャの政府が破産した一因は、ギリシャ国債以外にもドイツ国債という資産が同じ通貨ユーロで取引されていて、ギリシャ人投資家は為替リスクなしにドイツ国債を買うことができたということにあるわけです。日本人投資家は消去法的に日本国債を買うけれども、ギリシャ人投資家はそうではなかった、ということですね。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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