(※写真はイメージです/PIXTA)

上場していない企業の株式(プライベート・エクイティ)投資は、信用や流動性などの不確実性(リスク)が高く、「誰もが気軽にできる投資」ではありません。一方、流動性リスクによるプレミアムの上乗せ等、高いリターンも期待できることから、長期投資の手段として挙げられます。IT、バイオベンチャー等、世界を変える可能性を秘めた「未来のユニコーン企業」を発掘できるかもしれないプライベート・エクイティ投資について、特徴や具体的なスキームを詳しく解説します。※本連載は、川原淳次氏の著書『大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

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プライベート・エクイティへの投資

プライベート・エクイティ投資とは、主として取引所に上場していない企業への株式投資です。大別すると、ベンチャー投資とバイアウト投資に分けられます(日本バイアウト研究所編、2013、図表1)。

 

[図表1]

 

ベンチャー投資とは創業間もなく、事業基盤が確立していない状態の企業に対して、経営や事業拡大を踏まえて、成長をサポートするものです。起業アイデアに資金提供を行うケースがシード・ステージ、成長前の初期段階での投資がアーリー・ステージ、企業がある程度軌道にのって上場を目指すような場合をレーター・ステージと呼びます。

 

投資対象は今であればIT、バイオテクノロジー、クリーン技術などで、その時々でテーマは変わります。初期段階であるほどリスクは高い傾向にあります。

 

リスク分散として、アーリー・ステージとレーター・ステージを組み合わせたものがバランス戦略です。グロース・キャピタル投資は成長段階にある企業ですが、投資対象がレーター・ステージに比べて大規模で、業種がサービス業を含む伝統的業種が中心になっています。

 

バイアウト投資は、企業のライフサイクルでは中盤以降、成熟した企業の業績が芳しくない場合に、事業再構築などによって企業価値を向上させる戦略です。大企業のノン・コア事業、後継者難に悩むオーナー企業、経営不振の上場企業などを対象に、発行済み株式の過半数(マジョリティ)を取得して経営権を握り、リストラ、組織の再編、M&Aなどの手法を通じて、資本効率性の引き上げ、企業価値向上を行います。

 

上場企業を、TOBによって非公開化し、立て直しを行った後に再上場させることもあります。投資対象企業の規模によっても区分されます。また、企業のライフ・ステージが後期で破綻前後の企業への投資はスペシャル・シチュエーションと呼ばれ、実際に破綻した企業への投資がディストレス、破綻までいかない企業の再生がターンアラウンド戦略です。

 

ローンや高格付け社債と株式の中間にある、劣後社債や優先株式への投資をメザニン(中二階の意味)投資と呼びます。バイアウト時の資金調達の1つとして発行される劣後社債や優先株式への投資と、銀行からの融資が受けにくい企業への資金提供があります。

 

また、企業の私募債権へ投資する戦略としてプライベート・デットもあります。ファンドから企業(主に中小企業)に直接融資をする戦略をダイレクト・レンディングと呼びます。

 

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大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント

大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント

川原 淳次

東洋経済新報社

大学には学生の教育や社会経済貢献のための研究、財団には慈善事業のためになどの組織によって様々なミッションがある。そのミッションは長期的、恒久的に実現するものであり、そのためには財政的に支援する資産運用の長期的視…

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