(※写真はイメージです/PIXTA)

ヘッジファンドやプライベートエクイティ、仮想通貨など、投資対象が多様化する昨今、投資家は債券や株式などの「伝統的資産」をどのように活用しているのでしょうか。資産ポートフォリオの形成において「伝統的資産」がもつ役割を見ていきます。
※本連載は、川原淳次氏の著書『大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

投資初心者からプロまで…「債券投資」が有する多様性

現預金は流動性確保および市場危機時の待機資産としての役割があります。流動性を確保し、リスク性資産を持つ場合の安全資産として重要です。また、プライベート・エクイティなどの非流動性資産に投資する場合には、投資案件が出てきた時に資金を提供しなくてはならないので、投資待機資金としての役割も担うことになります。

 

債券投資の種別は多様です。国別では、国内債券、先進国債券、新興国債券に分かれ、種別では国債、地方債、事業債、金融債、証券化証券(モーゲージや自動車ローン等)、物価連動債などがあります。

 

金利付与の形態としても、クーポンのない割引債、固定利付債、変動利付債があり、目的によって投資および分散が行われます。特に、金利上昇期においては変動金利型、インフレ期には物価連動債が有効です。格付け区分では、AAA格〜BBB格までの投資適格債、それ未満のハイ・イールド債などがあります。

 

債券投資の特徴は、インカム収入、元本保証にあります。金利は経済環境、金利政策に依存して決まります。資金需要が高ければ金利は上昇し、低ければ低下します。デフレ期には良い資産と言えますが、予期しないインフレには対応できません。

 

主なリスクは、金利リスク(デュレーション)、信用リスク、外債に投資する場合は、為替リスクがあります。モーゲージの場合は途中償還リスクがあり、ローンが途中償還されると想定されていた収入が得られなくなるリスクがあります。また、償還金等を再投資する場合は、その時の金利水準が変化している可能性があり、再投資リスクとも呼ばれます。

 

これまでの金利低下局面では、再投資金利の低下に悩まされてきました。仕組み債はリスクを組み替え、キャッシュフローを変化させるものです。投資家として、どのリスクをどこまで許容するかによって、投資の可否を決めます。

 

投資先を決めた後に、そのベンチマークを設定します。ベンチマークの役割は、全体の資産配分を決める場合の基礎となるリスクや期待リターンを算出するために使われます。またベンチマークは、資産クラスごとに市場平均に対する実投資の良し悪しを評価するためにも用います。

 

国内債券の場合、最も利用されているのはNomura─BPIです。国債をコアにするのであればNomura─BPI国債指数を、社債等を含め国内債券全体(A格以上)を投資対象とするのであればNomura─BPI総合指数があります。

 

外国債券については、投資適格の先進国国債であればFTSE世界国債指数(円換算または円ヘッジ)、社債等を含めた全体であれば、Bloomberg Barclays世界総合指数(円換算または円ヘッジ)が用いられます。さらに、新興国債券やハイ・イールド債券へ投資する場合にはそれぞれ別の指数をベンチマークとして設定します。

 

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大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント

大学・財団のための ミッション・ドリブン・インベストメント

川原 淳次

東洋経済新報社

大学には学生の教育や社会経済貢献のための研究、財団には慈善事業のためになどの組織によって様々なミッションがある。そのミッションは長期的、恒久的に実現するものであり、そのためには財政的に支援する資産運用の長期的視…

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