「売却」を見込んだ会社づくりが重要?
M&Aイグジット※1をスムーズに実現するためには、イグジットしやすい会社、つまり買い手が「買いたい」と思う会社や事業をつくることがポイントです。
※1自己資金と労力を投じて会社を起ち上げた起業家が、M&Aでその会社を売却すること
また、同じイグジットを目指すのであれば、できるかぎり高い譲渡価格で売りたいと考えるでしょう。譲渡価格の考え方についてですが、基本的にM&A市場も市場なので、市場原理、すなわち需要と供給の原理で価格は左右されます。
需要が大きい、多くの買い手が「買いたい」と思う会社なら、譲渡価格も高くなりやすいということです。
ただし、M&A市場以外の外部環境によってM&A市場全体の盛衰が影響され、市場全体のM&A取引の活発度や平均的な価格水準が変わることがあります。M&Aイグジットの売りやすさや価格水準は、外部の偶発的な要素にも左右されてしまうということです。
例えば、2020年に安倍内閣から菅内閣に替わりデジタル行政の推進がうたわれて、いわゆる「脱ハンコ」が急速に進んでいます。この流れは不可逆的で、将来総理大臣が替わり、内閣が替わったとしても「やっぱりハンコに戻そう」ということには絶対にならないでしょう。
そのため、印鑑を売っているだけの「町のはんこ屋さん」をいまからM&Aで買って印鑑ビジネスをやりたいという人は、ほとんどいないでしょう。
もしあるとしても、せいぜい業界内での合従連衡※2ですが、それで買われるとしても買収価格は相当に低いものとならざるを得ないでしょう。これが、2、3年前なら、状況はまだぜんぜん違っていましたし、もし総理が他の人になっていれば、多少は違っていたかもしれません。このように、会社の売りやすさや譲渡価格は、外在的、偶発的な要素にも左右される面があります。
※2各勢力が結び、また離れるさま
一方、経営者が自分でコントロールできる内部的な要素もたくさんあります。言い換えると、売りやすい会社や事業は、ある程度狙ってつくれるということです。
また、既存の会社や事業を、そのような性格に変えていくことも可能です。ただし、そうはいっても、現状で売りにくい会社が、来月や再来月には売りやすい会社に変えられるかといえば、それは難しいでしょう。組織構造やビジネスモデルを変えるには、それなりに時間がかかるからです。
そこで、一番いいのは、最初に起業をするときから、イグジットを見越して、意識的に売りやすい会社をつくっていくことです。もちろん、実際には創業期にはさまざまな制約があるため、事業づくりや組織づくりもなかなか理想どおりには進みません。
しかし、売りやすい会社の条件をまったく知らないのと、知っておいて多少でも意識して会社づくりを進めるのとでは、時間が経てば大きな差になるはずです。
連続起業家※3を目指して新規起業を考える方がいれば、その点を意識した事業づくりや会社づくりを心掛けるといいでしょう。
※3自己資金を投じて会社を起ち上げ、M&Aでその会社(株式、または事業)を売却というサイクルを繰り返す人のこと
また、すでに事業を運営している経営者の方なら、実際のM&A活動に入る前に、少し時間をかけて、売りやすい会社にブラッシュアップしてからイグジットを目指したほうが、急がば回れで、よい結果になることも多いと思われます。
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