収束しないコロナ禍により、結婚式のキャンセルを検討するケースが増えています。式を計画しているカップルはもちろんですが、ホテル側にとっても頭の痛い問題です。いちばん気になるのは、「キャンセル料」の部分でしょう。どのような基準で決まるのでしょうか。ホテル・旅館をはじめとする宿泊業を専門分野とする、弁護士法人横浜パートナー法律事務所の佐山洸二郎弁護士が解説します。

大まかな「キャンセル料の計算方法」とは?

大まかなキャンセル料の計算方法としては、「すでに式場側が外部業者に支払ってしまった委託料」に加え、「予約がキャンセルされていなければ得られたはずの利益 × 予約されていた日に別の申込がない確率」という計算式が用いられていることが多いのです。

 

今回の「1ヵ月前のキャンセル料は300万円」のサンプルケースにあてはめてみましょう。

 

例えば、式場がすでに外部業者(例えば生花業者、衣装業者、美容室など)などに支払った委託料が100万円、それに加えて「予約がキャンセルされていなければ得られたであろう利益」が200万円、「予約されていた日に別の申込が無い確率」が50%だとします。すると計算式は、

 

委託料100万円 +(得られたであろう200万円 × 申込がない確率50%)= 200万円

 

となり、キャンセル料は200万円という結論になります。

 

このような理由から、消費者契約法上、「300万円のキャンセル料が、200万円まで制限される」ということになります。

 

もっとも、これはあくまで簡略化した一例であり、実際にはキャンセルのタイミングや事前準備の進み具合によって結論は都度異なります。

「消費者契約法」がバランスをとってくれるおかげで…

筆者も弁護士の立場として、キャンセル料を請求する側と請求される側、両方の立場の弁護を担当したことがあります。

 

やはり最終的な結論としては、上記のように「キャンセル料規定の料金に消費者契約法の制限を加えた金額」(サンプルケースでいえば100万円~300万円の間)で話し合いが成立することが多くあります。

 

消費者契約法がバランスをとってくれるおかげで、両者にとって納得しやすい中間的な金額が出しやすくなっているのです。

 

新郎新婦の方々へのアドバイスとしては、もし延期を悩んでいる場合は、できるだけ早めに式場側に相談することをお勧めします。早めの相談であれば、式場側もさまざまな対処をすることが可能だからです。

 

そして式場側の方々へのアドバイスとしては、新郎新婦が延期について悩んでいないか、早めに意向を確認してください。日程の延期などできるだけ柔軟な解決策を提案できればベストです。

 

このコロナ禍ですが、皆様が、適切なタイミングで無事結婚式を挙げられることを心より願っております。

 

 

佐山 洸二郎

弁護士法人横浜パートナー法律事務所

 

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