K&P税理士法人の香川晋平氏の書籍『東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員―会社が捨てるのは、利益を出せない人』(株式会社経済界)より、会社に利益をもたらす「黒字社員」はいくら稼いでいるのかを解説します。

会社があなたに投資する金額は「約2億円」

あなたを採用するために、会社はどれだけのコストをかけたのかを考えてみましょう。

 

まず、会社にとって社員1人の採用は、どれくらいの投資になるのでしょうか? 国税庁のレポート『令和元年分 民間給与実態統計調査』によると、正規社員の平均給与は約503万円です。

 

仮に、新卒で会社に採用してもらい、定年まで40年間働くとすると、

 

・40年×503万円=2億120万円

 

これが、あなたに対する会社の投資金額になるわけです。もちろん個々の会社によって、給与の差はありますし、新卒で入った方、中途で入った方などさまざまだと思いますが、次のような公式が成り立ちます。

 

・入社から定年までの年数×予想できる平均給与=あなたに対する会社の投資金額

 

会社にとってあなたの採用は、これだけの投資案件なのです。ですから、第1のポイントは、会社はあなたに2億円以上の価値があるだろうと期待して、採用していることを理解しなければいけません。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

次に押さえておきたいのは、そんなあなたを見つけ出すために、どれくらいのコストをかけたかということです。2億円を超える投資案件になるわけですから、会社としてはより多くの候補者から採用を決めようとします。

 

特に、新卒採用を行なっている大手企業では、

 

・リクナビやマイナビなどの就職サイトへの求人広告費

・会社パンフレットや採用ホームページなど、採用ツールの制作費

・会社説明会を運営するための会場費

・エントリー者に対する電話やハガキなどの通信費

 

など、多額のコストをかけて応募者をたくさん集めています。新卒採用を行なっている大都市圏の企業では、平均すると1人当たり100万円くらいかけていると考えられます。中途採用の場合でも、転職サイトへの求人広告費や、人材紹介会社への紹介手数料(初年度年収の約30%)など、やはり100万円くらいかけているケースがほとんどです。

 

ですから第2のポイントは、会社はあなたを見つけ出すために、100万円以上かけているということです。

 

それだけではありません。大企業だと、採用募集枠に対して何十倍という学生がエントリーしてきます。たった1人採用するのに、その何十倍の人たちを選考することになるわけです。

 

その選考に当たる面接官には、短い面接時間で適性を判断する必要があるので、会社は優秀な従業員(=黒字社員)を選んでいます。

 

もし、この黒字社員が面接官をしなければ、その時間にほかの仕事をすることで、会社に利益貢献しているはずです。つまり、あなたを採用するために、黒字社員の機会損失まで発生しているのです。

 

これも、会社の事情によって異なるでしょうが、100万円くらいの機会損失が発生しているケースが多いのではないでしょうか。これが第3のポイントです。

 

さらに入社後は、会社の仕事内容を理解していないあなたのために、会社は研修をしたり、現場では、先輩社員が仕事を教えてくれます。この研修コストや、先輩社員が指導のために費やした時間コストもかかります。

 

おまけに会社は、この仕事を教えている研修期間でさえも、給与を支払ってくれるのです。これが学校であれば授業料を支払わなければいけませんが、逆に給与を支払ってくれるのです。

 

会社で仕事の要領を覚え、黒字社員として会社に利益貢献できるようになるまでの期間。これが研修期間であり、この間に、あなたに支払われた給与、先輩社員が指導してくれた時間コストなどが、あなたへの教育コストです。

 

新卒で入社した方であれば、平均すると3年くらいでしょうか。その間の教育コストは、約1000万円になるでしょう。これが第4のポイントです。

 

これらをまとめると、あなたが新卒で入社した場合には、

 

1.会社があなたに期待している価値→2億円

2.会社があなたを見つけ出すためにかけたコスト→100万円

3.会社があなたを選考するためにかけたコスト→100万円

4.会社があなたに活躍してもらうためにかけたコスト→1000万円

 

会社は、あなたにこれだけのコストをかけて、利益に貢献してくれるだろうと期待していることを理解しましょう。

 

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東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員―会社が捨てるのは、利益を出せない人

東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員―会社が捨てるのは、利益を出せない人

香川 晋平

リュウ・ブックス アステ新書

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