給料以上は当たり前…「黒字社員」が稼いでいる額は?
なぜ会社は、あなたに1200万円ものコストをかけたのでしょうか? それは、2億円以上の価値があると期待しているあなたに、利益貢献してもらうためです。では、世間一般の従業員は、会社にどれくらいの貢献をしているでしょうか?
それを確かめるには、「従業員1人当たりの数値」を計算してみるとわかります。損益計算書の数値を、会社の従業員数で割ればよいのです。上場会社であれば、有価証券報告書に「従業員の状況」という項目があります。
この従業員数で損益計算書の数値を割ると、従業員1人当たりの数値が計算されます。そして、この従業員1人当たり数値を、その会社の平均給与で割ると「平均的な従業員は、一体、給与の何倍の売上・利益を稼いでいるのか?」がわかります。
上場会社の場合は、自社の数値を計算して、「ウチの会社では、給与の何倍の粗利益を稼ぐのが普通なのか?」を意識しましょう。
一方、未上場会社の場合には、残念ながら、このような詳しいデータはありません。決算書の開示をしていない会社のほうが多いので、自社の「従業員1人当たり数値」を把握するのは難しいでしょう。
しかし、業界ごとにある程度の期待値を推測することは可能です。
全国の税理士・公認会計士が精密監査した決算数値を、全国規模で集計した指標で、TKC経営指標(BAST)というものがあります。この指標では、各業種ごとの従業員1人当たりの売上、限界利益、人件費というデータが掲載されています。
ちなみに、ここで集計されている人件費には、給与だけでなく、法定福利費や福利厚生費等も含まれています。法定福利費とは、あなたの社会保険料を、会社が折半で払ってくれているものですが、この金額は、給与の約13%~14%になります。
福利厚生費は会社によって異なりますが、5%程度が多いでしょう。そうすると、あなたに支払われる給与の約20%を、会社は人件費として追加で負担しているということになります。
業界によって売上には、かなりバラツキがありますが、1人当たりの限界利益(粗利と考えてください)は、平均給料の2倍~2.4倍です。しかし、この平均数値は、まだ会社に利益貢献できていない研修期間中の赤字社員も含めて計算された数値です。
したがって黒字社員の目安は、あなたがもらう「給与の3倍の粗利益」となります。黒字社員になるために、1人当たりの数値を意識するようにしましょう。
香川 晋平
K&P税理士法人 代表社員
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