「VCファンド」と「バイアウトファンド」の違い
同じ非公開株式投資のPEファンドとして、ベンチャーキャピタルやバイアウトの共通点は多いが、もちろん、違いもある。
ベンチャーキャピタルファンドの場合、投資対象企業の現在の価格より、事業の将来性を重視する。
もちろん投資であるから、安い株価で投資できた方が良い。しかし、ベンチャー投資が大成功する場合、投資額と比べて何十倍以上ものリターンの可能性があるので、「どこで買う」より、事業の成長拡大によって「どこで売れるか」の方が大切である。
実績が乏しいベンチャー企業への投資は、失敗するのが常であるが、ファンドのポートフォリオに勝者の大当たりがあれば、全体のパフォーマンスを引き上げてくれる。大当たりを狙っているので、投資を逃したくない気持ちも働き、投資の取得価格にはそれほど神経質ではない。
一方、バイアウトファンドは、投資先が成熟した企業であり、ベンチャーのように高成長の展開が期待できるわけではない。
従って、彼らの場合は、「どこで買えるか」は重要な判断材料となる。つまり、投資対象の企業の潜在的価値と比べて、できるだけ安い価格で買った後で、事業再編を通じて価値創造した上で、適正価格で売却するというポイントが重要なのだ。
ベンチャーキャピタルのようにホームランのような大当たりは期待できないものの、三振は少なく、確実なヒットでランナーをかえすというイメージだ。
ベンチャーキャピタルの場合は、新興企業の成長という不確実性(リスク)を抱えることが、リターンの源泉になる。あくまでも、成長性の上方軌道への投資だ。
一方、バイアウトの投資対象は、成長が乏しい場合が少なくない。ただ、成熟した企業であるだけに、売上など安定したキャッシュフローが確保できる。業務的・財務的な再編を実行すれば、粗利やROEなどの回復によって、割安状態に放置されていた株価と企業価値の是正が期待できる。
ベンチャーキャピタルファンドの場合は、主役はあくまでも起業家だ。発行株数の過半数取得などによって投資先の経営権を支配するような投資はしない。
一方、バイアウトファンドの場合は、過半数の株式を保有することによって経営権を支配するコーポレート・ガバナンスが最も好ましいリスクマネジメントであると考える。
渋澤 健
コモンズ投信株式会社会長
\PR/ 年間延べ7000人以上が視聴!
カメハメハ倶楽部「資産運用」セミナー
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【8/6開催】認知症対策、遺言の代用として使える
「家族信託」の設計・契約のポイント<事例解説編>
【8/6開催】「海外法人のつくり方・つかい方」
日本に居ながら自分の「分身」を
海外に作るメリットは何か?
【8/7開催】地権者、会社オーナー、
個人資産家のための 争続を回避する
「ファミリーカンパニー」活用術
【8/7開催】混迷の米大統領選挙
―今後の米国投資の要諦とは
アライアンス・バーンスタインのストラテジストが
米国経済、金融市場の見通しを解説
【8/8開催】所在不明の相続人、
管理者不明の財産(土地)…
増えている“放置される相続”の
対応と裁判所の活用方法