5月の東証REIT指数は2000ポイント台で底堅く推移
5月の東証REIT指数は2000ポイント台で底堅く推移した(5月31日執筆時点)。先行きの経済正常化の進展を踏まえ、コロナ禍で売られてきたホテルや商業施設リートに加え、指数ベースでの影響度が大きいオフィスリート(Jリートの取得資産の概ね4割を占める)のリターンリバーサルの動き(戻りを試す動き)などが2000ポイント回復の原動力となった。
とはいえ、2016年以降の過去平均であるNAV(純資産価値)倍率(約1.12倍)を上回ってきており(4月末で1.14倍)、ここからの積極的な上値追いの動きは限られそうだ。以下では東京都心5区の足元のオフィス市況をフォローする。
空室率…都心5区は連続上昇も、渋谷区は2ヵ月連続低下
2021年5月13日に三鬼商事が東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の2021年4月時点のオフィスビル平均空室率を発表した。
空室率は5.65%(前月比+0.23ポイント)となり、上昇は14ヵ月連続。コロナ禍で在宅・リモートワークが進展し、オフィスビルの余剰スペースを解約する動きなどが引き続き空室率を押し上げた。
平均賃料(3.3平方メートルあたり)についても21,415円(前月比-126円)となり、9ヵ月連続下落した。空室率の上昇に遅行する形で賃料に下落圧力がかかっており、前年比の賃料の伸び率は-6.16%と2020年12月に前年比マイナスに転じて以降、5ヵ月連続の下落となった。
5区別の空室率を見ると、大手企業を中心にオフィススペース削減の動きなどの影響が見られた港区の空室率は7.38%まで上昇。前月比では千代田区(4月の空室率が4.33%。前月比で0.48ポイント悪化)や新宿区(4月の空室率が5.64%。前月比で0.31ポイント悪化)の空室率の上昇が大きくなった。
一方、IT・スタートアップの多い渋谷区の空室率は前月比で2ヵ月連続下落し、空室率は5.32%となった(図。2月の空室率は5.55%、3月の空室率は5.49%となっていた)。
渋谷区の賃料は都心5区のなかで一番高く、また前年比の下落率が都心5区のなかでもっとも大きい。だが、IT・スタートアップの解約に一巡感が見られるとともに企業業績の改善や先行きの経済正常化を見据え入居する企業が増加した証として空室率の上昇に歯止めがかかってきたのであれば、東京都心5区全体の空室率が上昇基調にあるなかでもオフィスリートの下支え要因として働いてこよう。
今後の見通し:上値限定的で、売り上がり戦略が有効か
需給面では、2021年6月にFTSEグローバル株式指数シリーズへあと1回組み入れられる点(組み入れ基準日は18日)はリートの下値をサポートすると見る。
このようにオフィスのファンダメンタルズ面や需給面からJリートの下支えが期待できる反面、バリュエーション面からの上値余地は徐々に小さくなると考え、今後のJリートは時間分散による売り上がりで利益確定を図ることも一案となろう。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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