5月の日米株式市場はやや不安定な相場展開に
5月に入り、日米株式市場は不安定な相場展開となった。米株市場では、①商品価格の上昇に加え、4月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想を大きく上回る結果となり、インフレに対する警戒感が強まった。
また、②実物の金(ゴールド)に対しデジタル・ゴールドとも呼ばれる暗号資産(仮想通貨)のビットコインや高PERの中小型ハイテク・イノベーション株などが乱高下し投資家心理を悪化させたことに加え、③FRB(米連邦準備制度理事会)が公表した4月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録でコロナショック以降初めて量的緩和縮小(テーパリング)への言及があったことなども上値を抑える要因となった。
日本でも新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)ワクチン接種の遅れや米国株市場の調整なども相まって日経平均株価指数が3営業日で2000円を超える下げとなり、一時2万7000円台まで下落した。
その後は業績改善に伴うバリュエーション指標(PER等)の低下などから投資家による押し目買いの動きが見られ、2万9000円台まで反発するものの、5月31日には月末安のアノマリー(経験則)なども意識され、2万8000円台で5月の取引を終えた(5月31日執筆時点)。
6月以降は国内のワクチン接種のスピードがポイントに
今後もFRBによる粘り強い緩和姿勢が期待されるものの、景気回復を背景とした需要の増加や商品価格の上昇などは先行きの物価と長期金利に上昇圧力をもたらし、グロース株の上値を抑制する可能性があろう。
一方、新型コロナワクチン接種の加速とそれに伴う経済活動再開の動きにより、欧米の景況感(製造業、サービス業とも)は大幅に改善しており、グローバルな景気敏感・バリュー株への選好は継続すると考える。
加えて、今後の国内での新型コロナワクチン接種の広がりにより、欧米に対する出遅れ修正の動きも期待され、内需の景気敏感・バリュー株の押し目買いは有効な投資戦略になりうると考える。
物色面では、自動車や機械などのグローバルな景気敏感・バリュー株に加え、内需の百貨店、旅行、鉄道、その他サービス関連企業や今後、職場のワクチン接種に積極的に取り組もうとするESG(環境、社会、企業統治)関連企業(健康経営の視点)に注目している。
当面のレンジとしては、2月以降の戻り高値を結んだ上値抵抗線や75日線が位置する「2万9200~2万9300円」の水準を上値としつつ、下値を200日線が位置する「2万6800~2万6900円」程度での推移を想定している(6月7日終値ベース)。
再度3万円を突破するためには国内のワクチン接種のスピードが加速し、海外投資家のグローバルアロケーション(資産配分)による資金流入が必要だろう。
6月の経済指標やイベントでは、4日発表の5月の米雇用統計や米国のFOMC(15日-16日)および欧州のECB(欧州中銀)理事会(10日)などインフレやテーパリングの動向にも注目し、引き続きリスク管理を実施しながら投資に臨んでいきたい。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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