経営方法を変えられない50代後半以降のベテラン先生
すべきことがわかっていても、行動しようとしない、行動できない「動かない歯科医」の先生方も、世の中にはいます。
動かない歯科医というのは、診療収入がかなり減っても、それを改善するための対策について何一つ行動に移さないような先生を指しています。接着剤で貼り付けたかのように腰が重く、テコでも動かないのです。動かない歯科医の先生は、「最近、経営があまりうまくいっていない」という危機意識は持っていても、軌道修正するために行動することに慣れておらず、行動すること自体に抵抗があるようです。
その大半は若い世代ではなく、50代後半以降のベテランの先生です。この世代は、開業するだけで歯科医院が無条件に儲かった「よき時代」を体験し、長年にわたって今のスタイルで医院経営をしてきた経緯があります。おかげで、「今さらやり方を変えるのもちょっと・・・」と躊躇する気持ちも、よくわかるのです。
高い危機管理意識と柔軟な対応が成功要因に
しかし、そのこだわりのせいで、勝ち組から一気に負け組に転落してしまっては元も子もありません。
世間からワーキングプアといわれるようになり、危機意識を強く持っている若手の先生のほうが、何事にも柔軟に対応し、結果として成功する傾向が強いように思います。ベテランの動かない歯科医の先生が何も手を打たないでいるうちに、若手の先生が近所に魅力的な歯科医院をオープンさせれば、そこに患者さんが流れていくのは当然でしょう。
全国保険医団体連合会の4373人を対象としたアンケートによれば、20代、30代の歯科医は収入増、40代は変わらずで、50代以上は急速に収入減、患者減が進んでいる状況が浮き彫りになっています。
次回は、動かない歯科医の先生の歯科医院にありがちな問題点を見ていきましょう。決して真似してはいけない失敗例なので、これから開業する方は、反面教師と位置づけてください。