歯科医院の印象はすべて「外観」で決まる
今回は、動かない歯科医の先生の歯科医院にありがちな問題点を見ていきます。
患者さんを新規で獲得するためには、歯科医院の「外観」が非常に重要なポイントになります。患者さんの立場になるとよくわかることなのですが、新しい歯科医院を訪れるのは、意外と緊張するものです。
「先生の腕が悪かったり、感じが悪かったりしたらどうしよう」
「院内の雰囲気が悪かったら気が重い」
「ほかの患者さんが全然来ていなかったら、それも何だか嫌だ・・・」
などなど、患者さんは胸のうちにさまざまな不安を抱えながら、歯科医院に足を運びます。にもかかわらず、入り口に入りにくい雰囲気がただよっていたとしたら、踵を返して帰りたくなってしまうのではないでしょうか?
外観は歯科医院の顔であり、顔が悪いと、絶対に人気のある歯科医院にはなれないのです。以前、『人は見た目が9割』(竹内一郎著、新潮社)という本がヒットしましたが、歯科医院も同じく、見た目がものをいう部分があるのです。
内部の雰囲気がわかる外観作りがポイントに
それでは、どんな見た目が患者さんに好かれるのでしょうか。まず、清潔感は絶対に重要です。古いビルに入っていること自体はそれほど大きな問題ではないにしても、入り口のガラス面がくもっていたり、ゴミが散らばったりしていたら、それだけで印象は最悪になってしまいます。
また、先生の中には歯科医院のおしゃれさにこだわる方もよくいます。洗練されて、スタイリッシュな雰囲気なら、たしかに「この歯科医院はよさそう」と思う患者さんも増えるでしょう。
おしゃれな雰囲気も大事ですが、それよりも優先して守るべき鉄則が一つあり、それは「内部がある程度見え、入りやすいつくり」にするということです。
歯科医院に限らず、飲食店や美容院などでも同じだと思いますが、たいていの人は、これから入ろうとしている場所の内部がどんな雰囲気になっているものか、非常に気にするものです。たとえば、おしゃれな一軒家風の、こぢんまりとしたレストランの前を通りかかったとしましょう。ふらりと入ってみたくても、窓が小さくて店内が見えないと、入るのにかなり躊躇しないでしょうか。
それに比べると、全面ガラス張りでオープンテラスなんかもあるようなカフェは、内部が丸見えなので敷居が低く、入りやすさは満点です。大手コーヒーチェーンの店舗を見ると、たいてい入り口がガラス張りになっています。それはお客さんの入りやすさや開放感を意識しているからでしょう。
歯科医院も、この鉄則を踏襲すべきです。といっても、歯科医院はレストランやコーヒーショップとは違い、患者さんの多くは待合室にいるところを外からじろじろ見られたくはないはずですから、あまりに中が見えすぎるのもよくありません。
そこで、すりガラスなどをうまく利用して、中が見えすぎず、それでも多少は中の雰囲気がうかがい知れる外観をつくります。これを満たしていれば、歯科医院の顔としては及第点です。
視認性の高い看板を掲げることも重要
また、看板が小さすぎたり、目立たなかったりするのもNGです。今の時代、患者さんはインターネットで検索して歯科医院を探すことも増えていますが、依然として通りがかりに「ここに歯科医院があるのだな」と認識し、後から来院するケースも多くあります。そのため、できるだけ視認性の高い看板(字が読みやすい、目につく場所に設置されている・・・など)を掲げるべきです(図表)。
こうした外観づくりのポイントを踏まえたうえで、ある歯科医院の例をご紹介しましょう。某歯科医院の院長先生は60代。もう30年近く同じ場所で治療を行っていたのですが、年々患者さんが減少しているというのです。
医院を拝見したところ、この歯科医院の最大の問題点は外観にありました。一戸建ての住居一体型歯科医院ですが、建物がブロック塀に囲まれ、外側からはほとんど内部をうかがい知ることができないのです。
しかも、看板も目立たないところにあり、気づかないで素通りする人がいてもおかしくない状態でした。そこで、その歯科医院の院長先生に、ブロック塀を壊し視認性の良い塀に変え、医院の様子が外からでもわかるように変えることをご提案しました。また、看板を作り直して、目立つ場所に掛け替えることもおすすめしました。
ところが、この院長先生は、典型的な動かない歯科医だったのです。残念ながら、提案も聞き流されてしまうことになりました。ずっと提案をし続けながら見守っていましたが、10年間お付き合いしている間に、診療収入が当初の5分の1になってしまいました。
【図表 歯科医院の命運を決定づける「よい外観」とは】