入居する前に考えておきたい「4つの条件」
続いて、希望する入居条件を整理します。具体的には、以下の4つが挙げられます。
1.入居の時期
2.費用
3.立地
4.介護サービス等の中身
1.入居の時期については、例えば病院から退院を余儀なくされ、すぐに入りたいそれとも半年後なのか、1年後なのかなどを検討する必要があります。
2.費用の種類としては、入居時に必要となる費用と月額利用料があります。前者の例としては、入居金や保証金、敷金などが挙げられます。一方、後者には住居費や施設運営費、食費、水道光熱費などが含まれます。
それらの費用の合計をどれだけの額に抑えたいのかを考えます。これは入居利用を考える場合の大変重要なポイントになります。なぜかというと、入居時の一時的な出費もさることながら、毎月負担する月額利用料は支払いが必須条件であり、入居者側の台所事情に直結するからです。
3.立地については、駅から至近な場所にあるのかなど、家族等が面会する際の交通の便も考慮に入れながら判断します。
4.求める介護サービス等の中身についてまとめておきます。併せて、医療やリハビリの体制についても要望を整理しておきましょう。
・施設でかかる費用は?
このように入居条件を整理する中で多くの人が最も気になるのは、入居を続ける限り経済的負担が継続する2.費用のことではないでしょうか。「介護施設に入るのに、一体どれだけの費用がかかるのだろう。今あるお金で足りるのだろうか……」と不安に思う人は少なくないはずです。
そこでご参考までに、東京都内で運営されている、ある介護付有料老人ホームを例にして具体的に説明しておきましょう。まず、入居時に必要な費用としては敷金が、それから月額利用料としては、住居費、施設運営費、食費が必要になります。
それぞれの額や合計額は次のとおりです。
(入居時に必要な費用)
敷金 16万1000円(非課税)
(月額利用料)
住居費 5万3700円(非課税)
施設運営費 3万4000円(水道光熱費を含む)
食費 3万6000円
※月額基本料金合計 12万3700円
これらのほかに、オプションの費用がかかることもあります。例えば、治療食を要望する場合には別途そのための費用も必要です。なお、上記の計算はあくまでも一例であり、すべての介護付有料老人ホームの月額利用料等が同じ額であるというわけではありません。
いずれにせよ、入居の際に必要となる費用は、特に月額利用料は毎月負担が発生しますので、所得や預金等が乏しくなると十分に支払えなくなる恐れがあります。
そうした事態を避けるためにも、入居期間がどれくらいの年数になるのか、またその入居期間の費用をまかなうためにはどれだけの資金が必要となるのか等を、事前にしっかりと資金計画しておくことが必要です。
上村 岩男
株式会社三英堂商事
代表取締役社長
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走