筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもについて、実例をもとに解説します。

「お父さんとお母さんは?」「なんですか?」

「○中学です」

 

たいていのお子さんは「○」と言うだけで中学の名前だけしか答えませんが、E君はきちんと中学までつけて答えます。

 

「E君はとても丁寧に喋るね、いい子だね。担任の先生は優しいかな、怖いかな?」

「あー◇子先生ですか、怒ると怖いです」

 

担任の名前をフルネームで答えます。正確に言わなくてもいいことまでしっかり述べるのも自閉スペクトラム症の特徴の一つです。

 

「お父さんとお母さんは?」

 

ここで、言葉をわざと省略してみました。

 

「なんですか?」

 

どちらが怖いのかを聞いたのですが、やはり、行間が、空気が読めていません。発達障がいのお子さんが苦手なことが多い分野です。

 

「お父さんとお母さんは、どっちが怖いですか?」

 

必然とこちらまで聞き方が丁寧になってしまいます。叩かれてはいないようですが、宿題をやらなかった時などは父親に怒られるようです。

 

話を進めていくと、どうやら自閉スペクトラム症に加え、不注意型のADHDもあるのではないかということがわかってきました。多動型は明らかな行動として見えるのですが、不注意型はなかなか見えないので気づかれにくく、小学校では、かなりの頻度で見過ごされます。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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