コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増えるなか、ゴミが捨てられなくなってしまう若者が問題になっています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、事例を紹介していきます。

「正社員」になることを考えなかった恐ろしい理由

「東京で初めて宝塚歌劇を観たんです。観たことあります? 別世界でしょう? 全身に電流が走ったみたいな衝撃というか、感動を受けて。どうしてもまた観に行きたくて。でも週末のチケットって取りにくいんです。だけど正社員だと平日に休みにくいから」

 

そうやってずっと宝塚歌劇を観たさに、派遣社員で仕事をしてきました。将来のことなんて、まだ考えもしていませんでした。いずれ誰かと結婚するだろう。それまで仕事して、大好きな宝塚歌劇の舞台を観に行って。次はいつどの舞台を観よう、そう思うことで仕事にも力が入りました。

 

ところがコロナでその歯車が狂ったのです。唯一の生きがいだった宝塚歌劇の舞台は、休演が続きました。別世界の感動を生で味わうことができません。そして景気低迷の余波で、派遣の職も失いました。

 

「部屋、もうこれ自分では片づけられないよね。業者さんに撤去してもらってもいい?」

 

私の提案に、女の子は素直に首を縦に振りました。軽トラック一台ではとても無理な量です。業者に任せることに同意してくれて、正直私もホッとしました。

 

これを「自分で……」なんて言われたら、いつまで経っても解決できないでしょう。まずはこの部屋が元の状態になれば、一歩前進できます。次は生活を立て直すために、お金の問題があります。

 

現在は無職。手元の貯金も、あと1カ月もすれば底をつきそうとのこと。私からは、いったん実家に戻ることを提案してみました。でも今まで従順だった彼女は、この提案は受け入れてくれなかったのです。

 

「実家は頼れません。お母さん、再婚したし。私、相手の人あまり好きじゃないから」

 

はっきりそう言い切る彼女に、何が何でも実家に戻るようにとは言えなくなってしまいました。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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