コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増えるなか、ゴミが捨てられなくなってしまう若者が問題になっています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、事例を紹介していきます。

窓が見えるはずなのに、白いゴミ袋しか見えない…

「足の踏み場がない」という言葉がありますが、ゴミの上しか歩けないような状態はよく見かけます。トイレも、もともと便器の色は黒い色ですか?と思ってしまうほど内側だけでなく外側も汚れていて、どうしたらこのようになるのか教えて欲しいと思うほどです。

 

ゴミから出る水分でフローリングが腐り、建物の基礎まで腐ってしまって建替えを余儀なくされた家主もいます。鉄筋コンクリートの建物なのに、天井から何か落ちてくる、そんなクレームで確認をしたら上階のゴミの水分が落ちてきていたということもありました。結局その家主は物件を手放しました。ゴミの破壊力は半端ありません。

 

ゴミの大半は、ペットボトルや食べ物が入っている容器です。使い捨てソフトコンタクトレンズの容器が、洗面台のボウル部分に溢れていたということもありました。両目で一日2つ。それが1カ月で60。数カ月で……。

 

汚い部屋にいても、コンタクトはするんだ、そんなことを思った記憶があります。ゴミ屋敷は、ある日突然にこのような状況になる訳ではありません。

 

今日片付けよう、明日やろう、そう思っている間に少しずつ部屋の中に飲み食いしたゴミが転がるようになり、分別が面倒でゴミ捨て場に持って行けず、気がついたらどんどん溜まっていたということなのです。

 

正常な感覚なら、その状態をおかしいと感じるのでしょうが、心が少しずつマヒしていくのでしょうか。ゴミ屋敷は、心が壊れ始めていることが、形として出てきたという結果かもしれません。

 

ちょうどお盆休みの時期、私は中山さんに頼まれて現地に行きました。物件の外側から見ると、バルコニー側にもゴミが溢れています。本来ならバルコニーの柵の間から窓が見えるはずなのですが、白いゴミ袋が積まれているので、窓は上半分しか見えません。

 

バルコニーにはざっと30個ほどのゴミ袋がありそうです。これは完全にゴミ屋敷の兆候でした。中山さんを困らせた入居者は、28歳の女の子でした。驚くことに、彼女自身はとても身ぎれいにしています。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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