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相続税の課税には厳密な基準が設けられており、課税対象の資産だけでなく、控除可能な債務や費用についても取り決めがあります。ここでは、それらの基本事項についてQ&A形式で解説します。※本記事は、『中小企業&資産家のための税目別誤りやすい税務への対応Q&A』(株式会社ぎょうせい)より抜粋・再編集したものです。

相続財産から控除できる「債務、葬式費用」の具体例

Q2

 

控除できる債務・葬式費用の範囲について教えてください。

 

A2

 

【1. 控除できる債務】

 

①被相続人の債務は、相続財産から控除することができます。控除される債務は、相続開始の際現に存するもので、確実と認められるものに限ります。控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際に債務の確定しているものの金額のほか、被相続人に係る準確定申告書の税額も含まれます。

 

②被相続人の債務であっても、相続税の非課税財産(墓所、霊びょう、祭具、個人の公益事業用財産)の取得、維持または管理のために生じた債務の金額は、債務控除の対象とはなりません。


【2. 控除できる葬式費用】

 

被相続人の葬式で相続人の負担した葬式費用は、相続財産から控除することができます。

 

葬式費用とは、①寺への支払い、②葬儀社への支払い、③通夜に要した費用などです。

 

なお、墓地、墓碑などの購入費用、香典返しの費用、法要に要した費用などは、葬式費用には含まれません。

相続税の負担を大幅に軽減できる「2つの特例」

Q3

 

相続税の主な特例について教えてください。(配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、事業承継税制)

 

A3

 

相続税の主な特例は、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、事業承継税制であり、いずれの特例も税負担の軽減効果が大きくなっています。

 

【1. 配偶者の税額軽減】

 

被相続人の配偶者の課税価格が16,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。

 

【2. 小規模宅地等の特例】

 

被相続人または被相続人と生計を一にする親族の事業の用または居住の用に供されていた宅地等がある場合には、一定の要件(取得者、面積)の下に、相続税の課税価格に算入すべき宅地等の価額の計算上、80%または50%を減額します。

 

※いずれの特例も遺産分割協議が前提となっていますので、申告期限までに遺産分割協議が成立する必要があります。

 

 

与良 秀雄

iTAX税理士法人 顧問

千葉商科大学(会計ファイナンス研究科) 客員教授

 

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中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

伏見 俊行(編著)

株式会社ぎょうせい

中小企業や資産家の円滑な税務対応のために、重要な税情報と、納税者が自発的に適正な税務対応を行うために役立つ情報を提供。特に重要な事項、誤りやすい事項、質問の多い事項をQ&A形式で平易に解説する。

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