(※画像はイメージです/PIXTA)

贈与税は、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下であれば課税されないため、申告も不要ですが、事情によっては課税対象とみなされるケースがあるため注意が必要です。ここでは、贈与税の課税や控除等について基礎的な内容を解説します。※本記事は、『中小企業&資産家のための税目別誤りやすい税務への対応Q&A』(株式会社ぎょうせい)より抜粋・再編集したものです。

納税資金が準備できないケースも…みなし贈与に注意

Q1

 

贈与税の課税対象となるみなし贈与について教えてください。

 

A1

 

みなし贈与は、贈与税において悩ましい点の一つで、①生命保険金、②定期金、③低額譲受け、④債務免除等、⑤その他の利益の享受が対象となります。

 

このうち、特に注意するのは以下に掲げる点です。これらに該当する場合には、納税資金が準備できないようなケースも多いので、税理士等に確認しておくことが必要です。

 

 1. 低額譲受け 

 

個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなされます。著しく低い価額の対価であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定することになりますが、課税実務では「時価」を下回った場合をいいます。

 

時価とは、その財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額をいいます。

 

 2. 債務免除等 

 

対価を支払わないで、又は著しく低い対価で債務の免除、引受け又は第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合には、その利益を受けた者が、債務免除等が行われた時にその債務免除等に係る債務の金額を、その債務免除等をした者から贈与により取得したものとみなされます。

 

 3. その他の経済的利益の享受 

 

対価を支払わないで、または著しく低い対価で利益を受けた場合には、その利益を受けた人が、その利益の価額に相当する金額を、その利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなされます。範囲は広いですが、例えば次のようなケースです。

 

①例えば親子間で、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」または「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。

 

②同族会社の株式または出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主または社員が当該株式または出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱われます。

 

(1)会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者

 

(2)時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者

 

(3)対価を受けないで会社の債務の免除、引受けまたは弁済があった場合 当該債務の免除、引受けまたは弁済をした者

 

(4)会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 当該財産の譲渡をした者

 

 

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中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

伏見 俊行(編著)

株式会社ぎょうせい

中小企業や資産家の円滑な税務対応のために、重要な税情報と、納税者が自発的に適正な税務対応を行うために役立つ情報を提供。特に重要な事項、誤りやすい事項、質問の多い事項をQ&A形式で平易に解説する。

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