医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などもあり、近年、医学部人気が高まっているという。従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦し、全国の82医学部入試の難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが子の育て方、接し方から入試対策までを明らかにする。本連載は小林公夫著『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。※2015年11月時点の取材をもとに構成しておりますが、ハンガリー医科大学の「2015年から2021年の総出願者数と総入学者数」のみ、2021年5月18日時点の最新の情報を記しています。

日本の私立医学部と比較すると負担は軽い?

海外の大学医学部へ

 

医師になる夢を叶える道は国内だけとは限りません。現在は、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ブルガリア、中国などの海外の国立大医学部を目指す人も増えてきています。たとえば、ハンガリーの4つの国立大医学部では、日本からの学生を積極的に募集するために受け入れプログラムを開始しており、2006年9月から日本人学生が入学しています。

 

このプログラムに参加しているセンメルワイス大、ペーチ大、セゲド大、デブレツェン大は、世界的にもレベルが高く、その医師免許はEU(European Union /欧州連合)で共通の医師免許として認められています。さらに、日本の医師国家試験の受験資格もあり、合格すれば日本とEU、どちらでも勤務が可能です。

 

経済面においても、日本の私立医学部と比較すると、負担は軽いようです。学費は生活費を入れて年間270万円ほど。物価が安く、国立大であることが大きく作用しています。

 

現在は、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ブルガリア、中国などの海外の国立大医学部を目指す受験生が急増しているという。(※写真はイメージです/PIXTA)
現在は、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ブルガリア、中国などの海外の国立大医学部を目指す受験生が急増しているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ハンガリーの国立大医学部の入学試験は大学によって若干異なりますが、おおむね、英語と生物、化学、物理、100問の筆記審査と口頭試問、面接審査という内容です。日本語による面接審査以外は英語で行なわれ、トータルで合否を判断します。

 

筆記審査の問題を見ると、専門的な医療英語が多く難易度が高いため、本コースにいきなり進むには十分に勉強をしないと歯が立たないでしょう。英語で試験を受けることは、医学部進学を考えている優秀な人でも、相当なハードルに感じるかもしれません。

 

ただ、本コース以外に予備コースがあり、半年から1年をかけて、英語や生物、化学の知識を蓄えて本コース試験の準備をします。医療英語や基礎の生物、化学、物理を授業でカバーするので、予備コースから本コースへの進級率は90%以上にもなります。予備コースで普通に勉強していれば、4大学のいずれかに進学できるようです。

 

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本稿は、基本的に2015年11月時点の取材をもとに構成しておりますが、ハンガリー医科大学の「2015年から2021年の総出願者数と総入学者数」のみ、2021年5月18日時点の最新の情報を記しています。その他の詳しい情報は、ハンガリー医科大学事務局にお尋ねください。

わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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