筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもの特徴や、実際の診断の様子を紹介します。

目には涙が…母親が声を出して泣き始めた理由は?

言葉の遅れの原因となる疾患は、難聴以外にも知的発達症(精神遅滞)、自閉スペクトラム症の合併症としての知的発達症、特発性言語遅滞、養育環境・心因性、低体重出生、脳性麻痺の合併症としての知的発達症、口蓋(こうがい)裂、構音障がいなどさまざまなものがあります。

 

原因を突き止めるためにはどうしてもさまざまな検査が必要となってきます。ここで保健師が「先生、今の時点で何か診断はつきますか?」と尋ねてきました。

 

「これらの検査で異常がなければ、多動、自己中、マイペース、車に対する知識、ミニカーを綺麗に並べるこだわり、言葉の遅れなどから、知的発達症を伴った自閉スペクトラム症だと思われます。乳幼児期に、C君は1歳前から人見知りをせず、ご両親の後追いをしなかったそうですが、これは、C君がすでに1歳前の乳児期から症状が出ていたことを示しています」

 

ここで一度間をとり、より優しく語りかけました。

 

「C君自身はいい子です。中にある病気が悪さをしているのです。生まれついてのものであり、決してお母さんの育て方のせいではありませんよ」

 

私がそう話した瞬間、母親の目に急に涙がたまっているのがわかりました。

 

「ソファーの横にティッシュがあるから使っていいですよ」

 

C君の母親は、声を出して泣き始めました。当然です。今日の今日まで自分の育て方が悪かったと、毎日自分を責めていたのです。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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