人生100年時代に突入し、AIやITといった最新テクノロジーや多様化などによって複雑化していく問題に対処するためには「管理」を通じて得られるスキルが必要である。株式会社アセントデベロップメントサービスの取締役副社長兼開発本部長である冠和宏氏は書籍『管理職魂』のなかで、社員の育成方法を説いている。

「最近のIT事情についてはBさんが詳しいよね」

既にイメージの固まっている組織というものはたくさんある。

 

例えば、名前を聞いて、「あそこは〇だよね」とすぐにレスポンスが返ってくるような組織は、そのイメージを作り出すことへの努力をしている。組織でも同じであり、Aさんと言えば問題解決だよね。最近のIT事情についてはBさんだ。という具合である。

 

自他共に認められることが誰にとって良いのかはさておき、逆にCさんしかできない仕事というのがあったとき、あなたが経営者だったら何を思うだろうか。

 

その技術が世界で一人の人間国宝級の技だったならば、逆にある程度のエキスパートだったら、誰でも似たようなことを実施している方法だったら。

 

エキスパートほど、自らの専門範囲に関してノウハウをいくつか持っていることが多い。

 

「ノウハウ」と聞いて、あなたは何を思うだろうか。聞きたいときに聞けばいいくらいの需要レベルであれば、〇さんが組織内にいれば、いつでも聞くことができるから、さほど気にならないかもしれない。

 

ただ、その〇さんのノウハウを見える化することで、組織全体にポジティブな変化が期待できるかもしれないと思ったら、どうだろうか。いまの組織のほとんどの人に知っておいてほしい、習得してほしい技術や知識だったらどうだろうか。

 

エキスパートが体得している何らかの技は基本的に細かく手順やプロセスが表に出てきていないことが多い。だから、ノウハウ本や自己啓発本のニーズが多いわけだが。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

このような知る人ぞ知るノウハウを、「暗黙知」という。これを誰でも参照できて、参考にできる形に変えることを「形式知にする」という。

 

「自分の背中を見て育て」という世界観が重要だと思える場面を除き、私は、管理職にはそのようなマインドを持ってほしくない。求められるスキルも、そのスキルを磨くために使える時間も、組織の中での役割も同じではない。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『管理職魂』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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