「育て方のせいではない」家族とともに向き合う重要性
「検査の結果が出たら、また予約して来てください。では、受付の前でお待ちください。C君、さようなら」と診察を終えました。
私は、たいてい診察の時、親御さんや祖父母のことも聞きます。それは、症状をしっかりと把握するという目的と同時に、遺伝だからこそ幼少期から発症するのであって、発達障がいは決して「母親の育て方のせいではない」ということを強調したいからです。
本来ならば、お子さんの発達障がいに、手を取り合って向き合っていかなくてはならない夫や祖父母にまで「自分の育て方が悪い」と非難され続けている母親に、救いの手を差し伸べたいのです。
「お母さんの育て方のせいではない」というと、ほとんどの母親は涙を流します。
発達障がいのお子さんの接し方にはちょっとした工夫が必要であり、それは慣れるまでは少し大変かもしれません。だからこそ、父親を含む家族の協力が必要です。母親は、一人で抱え込まないで家族の協力をあおいでください。
抱え込んで不安になったり、疲れた顔をしたりしていると、お子さんに悪影響を与える危険性があります。そして、母親が笑顔で子育てができるよう、家族、特に父親はできるだけ子育てに協力してください。
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鈴木 直光
筑波こどものこころクリニック院長・小児科医
小児神経学会認定医博士(医学)
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