社会人の受け入れで医学部は変わるのか
医学部の変化と社会人受け入れ
東海大医学部の学士編入者の多くは、Lさんのような社会人です。看護師、薬剤師、歯科医の経歴を持つ人がそれぞれ1人ずつおり、定員20人のなかでバランスを取っている可能性があります。しかし、いくつかの大学の学士編入の状況を見てみると、基本的に職種は関係ないようです。
学士編入生は、一般入試や附属高校からの進学者と一緒に、同じ学生生活を送ります。学士編入試験を行なっている大学では、多様性を受け入れる雰囲気が特徴的で、年配の人がいても避けることはなく、今のご時世では難しいでしょうが、歓迎会を開催するような大学もあります。子どもがいる女性のために病院職員用の保育室を開放し、保育士に子どもを見てもらえる大学もあり、家庭を持っていることが障壁になることは少なくなっています。
今後の医学部は、学内に大人と青年と子どもなど、さまざまな年代の人がいることが普通であるような、開けた雰囲気を目指す流れにあるのかもしれません。
また、大学によっては、教授、医局員、研修医のピラミッド構造による封建的な体制から脱却しようという動きも見られます。権威が集中するのを防ぎ、健全な医療を目指そうというのです。
アメリカでは、優秀な看護師が患者を診断する権限を持つことが認められており、日本でも病院の混雑を緩和するために、同制度の導入が検討されています。日本ではまだ女性医師の出産後の復帰についてシステムが整備されていない点もあり、これからさまざまな変化が訪れるでしょう。
このようなことも踏まえ、学士編入学を積極的に取り入れている大学は、人材の多様性を活かしていこうとする意識があるのではないでしょうか。
学士編入試験の定員や時期、試験内容は大学によって異なり、変化することがあるので、必ず最新情報をチェックして確認してください。
小林 公夫
作家 医事法学者
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